愛知・岐阜・三重の会社を本気で成長させたい経営者様を全力で応援します。

榊原輝重税理士事務所

052-761-3533
名古屋発 税理士アニキの感動!笑売

2021年11月12日

パート・アルバイトさんが迷う、税務と労務の「かべ」

早いもので、年末調整の時期がやってまいります。

私どもの事務所でも、お客様への案内で大忙しです。

 

先日ある関与先のスタッフさんから、こんな質問がありました。

「130万円を超えないようにしたいんですが、いつのお給料を調整すればいいのでしょう?」

 

年末調整のこの時期になると、パート・アルバイトさんは働く日を調整する方も多いようです。

経営者さんからすれば、休まれても困るところもありますけどね(苦笑)。

 

ですが、税務と労務では「かべ」が違います。

税金も社会保険も給料から天引きされるもの、とひとくくりで考えると良く分かりません。

 

「扶養家族」の定義も税務と労務では全く違うので、しっかり線引きしておくことです。

まずは税務の「かべ」について確認しましょう。

 

 

103万円のかべ

 

最もよく耳にするのが「103万円のかべ」です。

一年間の給与が103万円を超えると、自分自身が納税することになりますし、また配偶者の税金が増えます。

ですので、少し前までは、サラリーマンの妻で、パート・アルバイトをしている方はこの基準で賃金調整をしていました。

 

 

150万円のかべ

 

2018年の税制改正で、女性活躍推進の目的で103万円を超えて150万円までの給料なら、

今までの103万円のかべ同様に夫(配偶者)の税金が増えないようになりました。

夫の税金は据え置いて助けるので、もう少し頑張って働きましょう、という改定ですね。

 

とはいえ、ご自身の税金はかかりますからそこはご容赦ください。

納税しても手取りが増えることになりますから、決して働き損になるわけではありませんよ。

 

 

201万6千円のかべ

 

同じく2018年の税制改正で引き揚げられた配偶者の税金が助からない上限です。

サラリーマンの妻のお給料が150万円を超えたとしても、201万6千円までならまだ配偶者の税金は少し安くなります。

これ以上稼ぐと、配偶者の税金は助かりません。

 

 

住民税のかべ

 

103万も150万も201万6千円も、これはすべて国に納める税金についての規定です。

一方、住民税はお住いの地域に納める税金です。

実は住民税は国税より少し低い額からの税金がかかります。

各市町村により金額も異なります。90万円台からかかる市町村も数多くありますので、

「103万下回ってるから税金はかからない」と思っていてギリギリの線まで稼いでいると、

翌年市町村から通知が来てビックリ、なんてこともありますよ。

 

 

ここまでが税務のかべですが、税金計算上は1月から12月に支給された給与の合計額で判断します。

たとえば12月分の給料でも、翌月10日に支給であれば、それは12月分であっても翌年1月の給与として集計されます。

この辺りもうっかり勘違いしやすいところです。

 

また通勤手当は、通常の公共交通機関などであれば、その手当は課税される給与とカウントされません。

 

税は『弱者保護』の思想があるので、配偶者が高給取りですとこの限りではありません。

 

 

130万のかべ

 

こちらは社会保険の場合のかべです。

収入額が130万円までなら配偶者の扶養家族となりますので、

サラリーマンの妻の場合、夫の扶養家族に入れば、夫一人分の保険料で年金も健康保険料も賄われます。

これは大きなポイントですね。

 

 

106万円のかべ

 

これも社会保険のかべですが、2016年からは制度改正により、106万円以上の年収があり、

適用条件に当てはまる人は配偶者の扶養から外れ、自分で社会保険に加入しなければならなくなっています。

おおむね従業員の多い大企業や中堅企業に勤めているとこちらになります。

社会保険は130万と覚えているとまちがえます。

 

また

2022年10月からは従業員数が101人以上、2024年10月からは51人以上の企業に段階的に適用されるため、

106万円をギリギリ超えるくらいの収入を得ていた人は、今までと同じ時間働いても、今後は社会保険料を支払うことになります。

 

 

 

 

社会保険は税務と違う点が二つ

 

 

まず年間の収入額の計算が、税務では暦年の1月から12月と年末調整される源泉徴収票によって判断するところ

労務では直近三か月の平均給料から向こう一年分を推計するところです。

したがって税務で130万超えたから社会保険も扶養が外れると一概に言えないのです。

 

二つ目は通勤費の取り扱いです。

税務では課税される給与にカウントされませんが、社会保険では給料に含めて集計します。

税務では120万円だとしても、月額1万円の通勤費が出ていると、労務では132万円となってしまうのです。

要注意です。

 

 

 

分かり易くポイントだけお伝えしたので、細かな部分まででケアできてませんのでご容赦くださいね。

「自分の場合はどうだろう?」

疑問に思ったら、専門家である税理士、社会保険労務士にお尋ねしてみてください。

 

 

 

 

メルマガ

【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】

は毎月10 日に更新します。

お楽しみに!

 

会社のこと・税務のこと何でもお気軽にご相談下さい