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榊原輝重税理士事務所

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名古屋発 税理士アニキの感動!笑売

2020年12月11日

消費税 1,000万円の落とし穴

消費税申告には、気づきにくい落とし穴が結構あります。

その中で、今回取り上げたいのは「1,000万円」の落とし穴です。

 

新しく事業を始める時、世間一般で広く知られているのは

 

 

最初の2年は消費税がかからない

 

実は、このことが広く行きわたっているがために、うっかり落とし穴に入ってしまうことがあるのです。

 

 

 

会社設立時の1,000万円

 

消費税がかかるのは1,000万円。

金額ばかりにとらわれると、うっかりが生じやすいのです。

確かに、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税の課税事業者になりません。

 

基準期間とは、現在の進行期の2年前の年です。

だから設立したばかりの会社であれば、売上がないので消費税課税事業者にはなりません。

 

しかし、以下のケースのいずれかに当てはまると、最初の年から消費税の課税事業者となるのです。

注意するのは売上高だけではありません。資本金も注意してください。

 

  • 資本金が1,000万円以上

  • 合併・会社分割等があった

  • 特定新規設立法人である

 

平成18年に会社法が施行されるまでは、株式会社の最低資本金は1,000万円とされていました(平成14年から条件付きで最低資本金は1,000万円でなくてもよくなっていました)。

 

その名残でしょうか。

 

「株式会社をつくるなら、資本金は1,000万円いる」

「会社の信用を高めるには1,000万円」

「キリがいいから」

 

とうっかり1,000万円にして登記してしまうことも。

会社設立は、司法書士の主たる業務なので、税理士が関わらずともできます。

まずは箱を作ってから、事業が軌道に乗ってきてから、と税理士に関わらない方もいらっしゃるでしょう。

 

一度登記してしまえば、もう後の祭り。

最初の年から消費税課税事業者となってしまうのです。

 

落とし穴は、売上か資本金か。

以下か未満か。

 

売上に注目すれば1,000万円以下が免税。

資本金に注目すれば1,000万円未満が免税。

同じ1,000万円でも大きな分かれ目ですね。

 

 

ふたつ目と三つめは、イメージとして、

大きな会社ですでに事業をしていて、その一部を分社・分割して新たに会社を作って、

その子会社としてスタート。

 

実態を見れば、すでに実績等もあるため、課税事業者となってね、ということです。

税金は弱者保護の視点が背景にあります。

新しく立ち上がったばかりの、よちよち歩きだから、おまけしてくれるのです。

 

 

 

基準期間の1,000万円

 

消費税の課税事業者になるのは、売上が1,000万円を超えた年ではありません。

基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていた時です。

 

ここで落とし穴。

課税売上高ってナニ??

 

消費税法ではこのように規定されています。

 

課税売上高は、輸出などの免税取引を含め、返品、値引き、割戻しをした対価の返還等の金額を差し引いた額(税抜き)

 

いわゆる税抜きの金額で判定します。

しかし、基準期間において免税事業者であった場合は、基準期間である課税期間中の課税売上高には、消費税が課税されていない、とみなすため、税抜処理を行っていない金額、つまり税込み金額で判定することになっているのです。

 

通常は、免税事業者であっても、税込価格で販売しているはずです。

しかし会計基準では、「税抜処理方式」が原則とされているので、決算書の売上高は税抜になります。

 

免税事業者だった場合は、上記のように「税込価格」で判定をすることになるため、

決算書では950万円と売上高が表示されていても、税込みになおすと1,045万円。

うっかり課税事業者だと気付かないこともあるのです。

 

このことが、どういう結果となるのでしょうか。

 

消費税法では、課税売上高が5,000万円以下の事業者なら、

一般課税方式と簡易課税方式が選択できます。

選択できるということは、税額が違ってくる、ということです。

 

しかし、その選択届出は、前の期に出しておかねばなりません。

もし自分の会社が課税事業者にならない、そう思っていると、届出を出すことを忘れてしまい、

結果、多くの税額となってしまうこともあるのです。

 

また、課税売上高は「課税される取引」と思い込んでいると、うっかり落とし穴にはまります。

国税庁のHPで、

売上高が1,000万円を超える場合(消費税について)

(参考) 申告や納税について知っておきたいこと

のなかに次の記載があります。

 

「ほとんどの取引に係る売上高が課税売上高に該当しますが、土地の売却収入、住宅家賃、社会保険診療報酬など、消費税の非課税取引に係る収入等は除かれます」

 

税金は課税されるものと非課税のものに分けられる。

 

それは正しいです。

課税売上高の定義をもう一度、見てください。

「課税売上高は、輸出などの免税取引を含め、・・・」

輸出品は消費税はかかっていません。

だから輸出売上は「非課税」だと思い込んでいませんか。

 

輸出売上は課税売上高に含めます。

 

輸出は消費税率が0%

の課税売上高になるのです。

 

ウチは輸出売上がメインだから、消費税の課税事業者にななってないよ、

それは要注意です。

 

 

 

開業2年目の1,000万円

 

会社設立、事業を開業した最初の2年間は、消費税はかからない。

平成25年の消費税改正までは、そうでした。

 

しかし、いきなり業績絶好調、事業も軌道にのりました、

そんな会社には、2年目でも消費税は支払ってもらいましょう、となったのです。

 

1年目の最初の半年で、

課税売上高が1,000万円または、給与の支払いが1,000万円を超えたら、

2年目は課税事業者となり、消費税を支払うことになります。

 

だから最初の2年は、消費税は払わなくていいもんね、

そう思っているとうっかり落とし穴にはまります。

 

 

いかがでしたか?

消費税の落とし穴。

起業しようと考えている方、

事業を始めて間もない方、

うっかりがないように、信頼のおける税理士に、

事前にいろいろ相談してくださいね。

損をしないアドバイスをしてくれると思いますよ。

 

 

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