愛知・岐阜・三重の会社を本気で成長させたい経営者様を全力で応援します。

榊原輝重税理士事務所

052-761-3533
名古屋発 税理士アニキの感動!笑売

2024年12月10日

給与所得控除と基礎控除

さて先の選挙で国民民主党が公約した「103万円の壁」の引き上げが議論されることになりました。

ところで皆さんはこの103万円の壁についてどう理解していますか。

税金がかからない給料の上限、ハイ正解です。

ではもう少し深堀りしていきましょう。

 

 

税金がかかるのは儲けです

 

 

税金は収入の金額全部にかかるのではありません。

 

税金は儲け、会計の言葉でいえば利益に税金がかかります。

会社でいえば売上があり、経費があり、その差額が利益となります。

サラリーマンでいえば、給与明細総額、つまり収入金額が売上にあたります。

では経費はどう計算されるのでしょうか。

サラリーマンといえども、パソコンを買ったり、本を買って勉強したり、

時にはセミナー代を払って勉強をすることもあるかもしれませんね。

これらはもちろん経費になりますので、集計をして確定申告してもちろん構いません。

 

税務ではサラリーマンの経費相当分を給与所得控除として利益を計算します。

税務では利益と言わず所得といいます。ややこしいですね。

給与所得控除は収入金額の25~30%くらいに定められていますので(高額給与になると一定額です)、

ほとんどの方が実費の経費計算を選択しません。

給与所得控除の最下限は55万円となっています。

 

だから年間給与が55万円までなら、利益はゼロ、

だから税金はかからない、ということです。

 

 

基礎控除とは

 

 

基礎控除とは何でしょうか。

これはすべての納税者が持っている非課税枠だとお考え下さい。

わが国では憲法25条に生存権を定めており、これに基づくものとして基礎控除が定められていると考えられます。

つまり最低限の生活保障という性格を持ちます。

基礎控除の金額は長らく38万円でしたが、2019年から48万円に引き上げられています。

 

 

103万円の壁の正体

 

 

先の述べた給与所得控除の55万円と、基礎控除48万円を合わせると103万円になります。

これが103万円の正体です。

だから両方足した控除の枠内であれば、税金はかからない、ということです。

 

でも基礎控除の48万円ってどうなんでしょう?

 

48万円は12か月で割ればひと月4万円です。

「え~?月に4万円では生きていく保証なんて得られないよ!」

私もそう思います。

 

いまどきなら10万円くらいが妥当かな、と思います。

であれば基礎控除は120万円。

給与所得控除を合わせれば175万円。

これが適正な非課税収入の下限となるのかもしれませんね。

 

ちなみに

年金収入の場合、65歳以上の方の年金控除は110万円です。

お年寄りには考慮されているようです。

 

 

【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】
は毎月10 日に更新します。
お楽しみに!

 

2024年9月10日

定額減税とふるさと納税

6月から始まった定額減税ですが、お給料明細をみて

「銀行への振込額が増えた!」

と実感された方もいるでしょうね。

 

ところで、ふるさと納税はされていますか?

返礼品がもらえるし、住民税の控除等の魅力から、今年もふるさと納税をやろうと思っている方もいるのではないでしょうか。

では定額減税が行われた今年はどうなるんでしょう。

 

 

 

住民税の内訳とふるさと納税

 

 

ふるさと納税は、寄附した年の翌年度の個人住民税から一定額の控除を受けることができます。

そしてその特例控除額の控除上限額については、「所得割額」の2割とされています。

 

ここで「所得割額」とは何でしょう?

個人住民税は、2種類の計算方法で計算されたものの合計額です。

そのひとつが「所得割」で、もうひとつが「均等割」です。

所得割は所得(収入)の多寡によって決まり、均等割は定額(例えば私の住む名古屋市では4,000円)と決まっています。

ふるさと納税をする場合、収入が少ない年は収入があった年と同じ金額を寄付しても、

上限を超えてしまった金額については税金控除の恩恵が受けられないのです。

 

 

 

ふるさと納税に影響のケース

 

 

一定の配偶者を有する場合、定額減税が行われたら、令和6年中に寄附する額が令和7年度分のふるさと納税の控除上限額に影響するケースがありえるので要注意です。

 

住民税における定額減税は、原則として令和6年度分の所得割額から減税額(本人:1万円、控除対象配偶者又は扶養親族:1人につき1万円の合計額)が控除されます。

 

しかし、夫が高額所得者(毎月のお給料が約100万円以上の方とイメージしてください)の場合、専業主婦の妻の分の減税額1万円は、令和7年度分の所得割額から控除されることになっているのです。

仮にこの方をAさんとしておきますね。

 

令和6年度分の所得割額については、「定額減税 前 の所得割額」をベースにふるさと納税の控除上限額を算出するという特例が設けられています。

ですので、定額減税は令和5年中に行った寄附額には影響しませんでした(地法附則5の8③)。

 

ただしこの特例は、令和6年度分の住民税に限った措置であり、令和7年度分には設けられていません。

すると令和7年度分の控除上限額は、「定額減税 後 の所得割額」をベースに算出することになります。

 

そのため、Aさんが、令和6年中にふるさと納税を行い、令和7年度分の住民税でふるさと納税の控除を受けようとすると、

控除上限額のベースとなる所得割額は、同配偶者の減税額1万円が控除された後の額となるのです。

 

ふるさと納税は、年末に駆け込みで行う方も多いでしょう。

その場合は、令和7年度分で控除される定額減税額があるのかを確認し、定額減税後の所得割額をベースにした控除上限額を事前につかんでおくとよいでしょう。

 

 

 

メルマガ

【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】

は毎月10 日に更新します。

お楽しみに!

2024年6月10日

納付書が来なくなる!?

税理士事務所の主な仕事の一つに、申告書の作成と代理しての申告があります。

法人様には、決算日から3週間ほど過ぎると税務署から封筒が届きます。

封筒には、まっさらな税務申告書や手引き、納付書が入っています。

それらを税理士事務所が預り、申告の手続きをすすめていきます。

 

しかし電子申告(e-Tax)が増えてきたため、税務申告書や手引きなどは同封されなくなりました。

そして、この5月分からはなんと!納付書も送ってこないということになったのです。

送ってこないから納めなくていい、なんてことはありませんからね(笑)。

 

事前送付を行わないこととなる方

 

 

国税庁は「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」を実現するとして、キャッシュレス納付を大々的に進めています。

そこで以下に該当する方には納付書を行わないことにしました。

 

  1. e-Taxにより申告書を提出している法人の方、e-Taxによる申告書の提出が義務化されている法人の方
  2. e-Taxで「予定納税額の通知書」の通知を希望された個人の方
  3. ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)した方
  4. インターネットバンキングによる納付した方
  5. クレジットカード納付した方
  6. スマホアプリ納付した方
  7. またはコンビニ納付(QRコード)により納付された方

 

法人と個人で取り扱いに違いがありますので、ご自身がどちらかは確認してみましょうね。

決算時の申告であれば、税理士にまかせていれば大丈夫でしょうが、

ご自身で申告している方は要注意です。

期限までに納めないと、加算税や延滞税がかかることになります。

 

また、中間納税(予定納税)だと「うっかり払い忘れた!」ことも起こり得そうです。

ただ変わらず消費税の中間納税だけは送ってくるようです。

消費税の金額は大きいし、赤字企業でも支払うことになることも多いため、

徴収漏れは困るということでしょう。

 

 

キャッシュレス納付の種類

 

 

納税者としては、「そんな~」と思っても対応していくしかしょうがありませんね。

メリットとしては

 

  • 自宅やオフィスから納税できる(銀行へ行かなくて良い)
  • PCやスマホで簡単に手続きができる
  • 現金管理は不要になる

 

と国税庁は言っています。

確かに便利ですね。

 

キャッシュレス納付には次のような方法があります。

 

  • 振替納税(個人)
  • ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
  • インターネットバンキング
  • クレジットカード納付
  • スマホアプリ納付

 

この機会に切り替えよう、そう思っている方ぜひトライしてみてください。

詳しく知りたいな、そう思ったら信頼のおける税理士に尋ねてみてくださいね。

 

 

 

メルマガ

【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】

は毎月10 日に更新します。

お楽しみに!

2024年5月13日

定額減税のやり方は難解!?

6月から始まる定額減税。

従業員へお給料を払う会社ではその準備をする必要があります。

そこで税理士事務所では、具体的なやり方をお客様へアナウンスしているところです。

5月の間に定額減税の対象になる扶養家族の人数を確認して、給与計算ソフトに入力していただいています。

一方で、ソフトを使っていない会社さんは、アナログで管理していただくことになります。

 

 

定額減税の基本的なやり方

 

 

個人事業主さんは確定申告で行うので、ここでは割愛してお勤めの方でお話します。

わが国では源泉徴収制度といって、毎月のお給料から税金を天引きし、会社が本人に代わって支払っています。

会社は源泉徴収義務者といって、必ず従業員さんから税金を預かり、納めなければなりません。

天引きする税金金額は定めがあり、毎月のお給料の金額、扶養家族の状況で変わります。

定額減税は、6月に天引きする金額と相殺する形で行われます。

 

具体的に見ていきましょう(簡単に説明するため社会保険などは省きます)。

お給料が50万円で毎月天引きする税金が3万円だったとしましょう。

通常であれば、6月の手取りは47万円です。

定額減税を実施すると、天引きする3万円と相殺されるので

手取りは50万円となるのです。

 

もし扶養家族がいると金額が変わります。

お給料をもらう方が男性だとして、奥さんと子どもが2人いれば、自分のほかに3人分の減税がされます。

3万円×3人で9万円。

毎月の天引き額が3万円ですので、7、8、9月も手取りが50万円となるのです。

7月に賞与があれば、もっと早く実施されることになります。

 

 

扶養家族の人数はどこで数えるの

 

 

お勤めの方は源泉徴収義務者である会社に、年の始めに、または勤めを開始したときに

「給与所得者の扶養控除等申告書」(通称:マル扶)

書いて提出することになっています。マル扶を見れば扶養家族の人数が分かります。

 

しかし、ここに記載しない場合があるので要注意です。

ポイントになるのは、配偶者の取扱いです。

奥さんが所得48万円以下(給与であれば103万円相当)であれば、同一生計配偶者といって所得控除の対象として記載します。

ところが、本人の所得が900万円(給与であれば1,095万円相当)を超えている方は、

たとえ奥さんが専業主婦だとしても、記載していない場合があります。

うっかりカウントが漏れてしまう可能性があるから要注意ですね。

 

所得控除と定額減税では、異なった取り扱いとなっているので間違いを起こしやすいのです。

 

 

共稼ぎの方は

 

 

夫婦共稼ぎの方は、どちらで定額減税が受けられるのでしょうか。

配偶者分をうっかり各々で定額減税してしまったら、税金を追徴で支払うことになるかもしれません。

 

定額減税のルールでは、「給与所得者の扶養控除等申告書」(通称:マル扶)に主たる給与と記載があれば実施されます。

お給料を何社からもらっているような方は、主たる給与の会社から定額減税がなされます。

夫婦ともにバリバリ働いていれば問題ないのですが、

奥さんがパートで働いている場合はどうなるの?という疑問があります。

 

この場合でも、ルール通り主たる給与の会社で定額減税が行われます。

これって二重で受けられるってこと?

いえ結果的にはそうなりません。

年末調整において、

103万円を超えなければ、自身の定額減税はなされず、夫の方で定額減税が行われます。

103万円を超えた時は、夫の方で行った定額減税は取り消されます。

制度上は、最終的には年末調整で調整されるようになっているのですね。

 

 

ただいろいろなケースが想定されます。

つまりケースバイケースで考えなければならないし、

手続きが煩雑なのは間違いないです。

 

最終的に年末調整で調整されるなら、わざわざ6月にやらなくてもいいのにな~と

正直思います。

 

ややこしや~

 

 

 

メルマガ

【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】

は毎月10 日に更新します。

お楽しみに!

2024年4月20日

定額減税はありがたいけど

岸田総理大臣がこだわって決まった感のある定額減税が、まもなく6月から始まります。

 

 

個人所得税の定額減税

 

今回の定額減税は本人と配偶者、そして扶養家族一人につき令和6年分の所得税が3万円減税されます。

 

モデルケースで考えてみましょう。

夫婦2人、子ども2人の4人家族だとすれば、

3万円×4人=12万円

一年間の税金が減税されます。

こうして金額を見せられるとインパクトがありますね!

 

 

個人住民税の定額減税

 

所得税は国税と住民税の2本立てです。

住民税も同様に減税されます。家族一人につき1万円です。

つまり国税と併せて一人当たり4万円の減税となるのです。

家族4人なら16万円!

すごい~

 

 

対象外になる人も

 

しかし対象にならない方もいます。

「居住者」といって、日本に住んでいなければなりません。

海外勤務で外国に行っていたりすると対象になりません。

 

また高額所得者も対象から外れます。

こちらは合計所得金額1,805万円を超えると対象外です。

給料収入でいえば年収が2,000万円を超えるような方ですね。

 

 

減税のしかた

 

気になる減税のしかたですが、以前行われた定額減税は年末調整のときに計算され還付されました。

今回は6月のお給料からダイレクトに反映されます。

お給料をもらう人は源泉税と言って毎月給料から天引きされていますが、この税金で調整されます。

つまり手取り額が6月はど~んと増えるということです。

源泉税より減税額が多い場合は翌月にまわり調整されることになっています。

 

「いやいやウチは年額でもそんなに税金ないですから」

 

ご安心ください。引ききれない分は翌年給付されることになっています。

 

事業所得のある方(お商売をしている方)は、お給料をもらわないので、予定納税があればその時に減税します。
原則的には確定申告のときになります。

 

 

また、定額減税とは別に住民税では非課税世帯、均等割りのみ課税されるような世帯については、別途給付金がありますので、該当する方はお住いの市町村でご確認されるとよいでしょう。

 

 

 

 

どうなのよ減税

 

「減税」はやっぱり庶民にとってありがたいですね。

 

とはいえ、財務省は徴収する税金を減らしたくないはず。

差引ゼロにしたいため、「子育て支援」という名目で社会保険料を増額しました。

社会保険料は保険料とは名ばかりで、実際は税金と何ら変わりません。

実は税金の徴収額はこの30年間で中身は変わっているものの、

(法人税が減って、その分消費税が増えた)

あまり増えていないのです。

それより社会保険料はすごいアップ率です。

 

また今回の減税のしかたは会社の経理部をはじめ、私たち税理士、役所の方々にものすごい事務負担をかけています。

会社の経理部は残業必至!

 

なぜこのような方法になったのでしょうか。

一説には選挙対策だと言われていますね。

ありがたみを国民に感じてもらって支持率を上げる、とか。

 

 

先日の新聞ではインフレが始まり(これはいいことではあると思いますが)、実質賃金は下がり続けています。

いや~本当に国民のこと、本気で思うなら、

 

消費税を一時停止

くらいやってほしいものです。

(廃止とは気が弱いので言いません)

異次元とは、それくらいのレベルではないでしょうか(苦笑)

岸田総理大臣、お願いしますよ!

 

 

メルマガ

【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】

は毎月10 日に更新します。

お楽しみに!

 

 

 

 

2024年3月11日

税務調査で重加算税がかかるのは

確定申告も大詰めです。

申告すれば、そのあとに来るかもしれないのが税務調査です。

申告された内容を税務署が精査して、誤りがあるかもしれないとなれば調査の連絡が入ります。

新聞などで報道されるのを目にした方も多いと思います。

「税務調査を受け、○○会社は修正しに応じ、追徴額がいくらで、重加算税がいくら」

さて、この重加算税とはいったいなんでしょう。

 

 

重加算税とは

 

納税者にとって、税務調査で、最も困るのが重加算税です。

重加算税とは、会社が不正を行っていた場合、罰則的に課される追徴税です。

 

会社の不正とは、経理に「仮装・隠ぺい」があったことです。

つまり、税金を納める額を少なくするために

意図的に隠ぺいしたり、仮装したりすることです。

ポイントは「うっかりミス」ではなく「意図的に」という点です。

 

重加算税が課されると税額に対し35%(無申告の場合は40%)と高額の罰金となるほか、

税務署のブラックリストに載ってしまい、ずっとマークされることになります。

 

国税庁のデータによると、税務調査でおよそ20%の会社に、重加算税が課されています。

「これくらいなら大丈夫」は大変危険です。

こわいですね。

 

 

 

重加算税がかかるのは

 

税法では、重加算税の要件は、「財産を隠ぺい、または事実を仮装」したこととなっています。

裁判所の判例では

「事実を隠ぺいするとは、事実を隠匿しあるいは脱漏することを言い、

事実を仮装するとは、所得・財産あるいは取引上の名義を装うなど事実を歪曲すること」

(和歌山地裁、昭和52年6月23日)とされています。

 

 

 隠ぺいまたは仮装の例

 

では、どのようなものが隠ぺい、仮装となるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

 

事実の隠ぺい

  • 二重帳簿の作成…税務署や税理士に見せる帳簿と、本当の帳簿を分けて作っていた場合
  • 売上除外…売上をわざと少なくしていた場合
  • 架空仕入…実際には存在しない仕入を、帳簿上はあったようにしていた場合
  • 架空経費…実際には存在しない経費を、帳簿上はあったようにしていた場合
  • 棚卸資産の除外…在庫がある会社で、決算時の棚卸を実際より少なくしていた場合
  • 雑収入の除外…会社が得る副収入をわざと申告しなかった場合

 

 

事実の仮装

 

  • 取引上の架空名義の使用…存在しない取引先名を使っていた場合
  • 通謀虚偽表示…取引先と共謀して、実際には存在しない取引をあるように見せかける、または金額を変えたような場合
  • 虚偽答弁…調査官の質問に嘘の回答をした場合

 

これらは例であって、これ以外は当たらないという意味ではありません。

これら以外でも「隠ぺい・仮装」と認められれば重加算税が課されます。

 

 

利益が出れば、税金を納める。

 

これが原理原則であり、正しい道です。

道を外さないよう、信頼のおける税理士に相談して、しっかり申告しましょうね。

 

 

 

メルマガ

【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】

は毎月10 日に更新します。

お楽しみに!

2024年2月12日

給与として課税されるもの

税務で課税されるのはどんな時?

税務上の言葉でいえば「所得」が発生した時と言えます。

所得計算というとなんだか難しい感じがしますね。

 

感覚的に

「ラッキー!儲けた!!」

という時は課税される可能性があるかもしれません。

 

 

 

経済的利益とは

 

 

会社から給与としてお金をもらえば、所得税として天引きされます。

お金以外でも会社から支給されるものがあります。

例えば、会社から食事の支給を受けていたり、

安い賃料で社宅を借りていたり、

会社の商品を安く買えたり、

というように、様々な形でモノや権利を受け取ることがあります。

 

これらは給料を支給したと同じ効果があるので現物給与とも言われ、

税務では、「経済的利益」として所得税がかかります。

 

 

役員に対する経済的利益とされ課税対象となるもの

 

中小零細会社では、社長が一人で判断するケースも多いため「うっかり」がないように注意してくださいね。

以下に挙げるものは、経済的利益として所得税がかかります。

① 役員へ物品などを贈与した

② 役員へ資産などを本来の価格より低額譲渡をした

③ 役員から安い資産を高額で買い入れた 

④ 役員に対して行った貸付金や立替金を放棄したり免除したりした

⑤ 役員個人の借金を無償で引き受けた

⑥ 役員に対して、会社保有の不動産を無償または低額で提供した

⑦ 役員に対して、金銭を無償または低金利で貸し付けた

⑧ 役員に対して、自社サービスを提供したにもかかわらず無償または低額とした

⑨ 役員に対して、機密費・接待交際費・旅費などの名目で支給したもののうち業務で使用したことが不明なもの

⑩ 役員のために個人的費用を負担した

⑪ 役員の社交団体に支払った入会金や会費を会社が負担した

⑫ 会社が役員を被保険者とし、受取人も役員とした生命保険の保険料を負担した

 

いかがでしょうか?

意識せず該当していた、なんてこともあるかもしれませんね。

 

 

 

給与としない経済的利益

 

 

一方で課税されない経済的利益というのも定められています。

① 通勤手当(所令20-2)
金銭で支給する通勤手当、通勤定期券は一か月あたり合理的な運賃なら非課税。新幹線など特急料金はOK、グリーン車はNG

 

② 非常勤役員の出勤するための費用(所基通9-5)
非常勤で次のような人に対する出勤に要する旅費や宿泊費で、社会通念上合理的かつ必要と認められるものは非課税
イ) 国・地方公共団体の議員、委員、顧問、または参与
ロ) 会社その他の団体の役員、顧問、相談役、または参与

 

③ 単身赴任者が会議に併せて帰宅する場合の旅費(昭60直法6-7)
単身赴任者が職務上必要な旅行に付随して帰宅のために旅行を行った場合で、所基通9-3に定める旅費の範囲を著しく逸脱しないものは非課税

 

④ 宿日直料(所基通28-1)
宿日直料金は一回の宿日直につき4,000円(食事込み)までは非課税

 

⑤ 結婚祝い金等(所基通25-5)
雇用契約に基づいて支給される結婚、出産などの祝い金はその地位に照らし社会通念上相当と認められるものは非課税

 

⑥ 葬祭、香典、見舞金(所基通9-23)
葬祭料、香典、災害などの見舞金は社会通念上相当と認められるものは非課税

 

いかがでしょうか。

そうだよねと思うものもあれば、そうなの!?と思うものもありますね。

 

 

 

自分の会社だからと言って、公私混同はNGですからね。

「ラッキーかも」そう思う時は税理士に相談してくださいね。

 

 

 

メルマガ

【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】

は毎月10 日に更新します。

お楽しみに!

2024年1月12日

従業員への食事、勘違いにご注意

明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願します。

 

年明けのおとそ気分真っただ中に飛び込んできた能登半島での地震のニュース。

実家のある愛知県の弥富市に行っておりましたが、かなりの揺れを感じ、東北での震災を思い出して心苦しくなりました。

被災された方の安否に毎日気が気ではありません。無事を祈るばかりでございます。

被災された方に心よりお見舞い申し上げます。

 

 

さて、昨年の春にコロナが5類に移行されました。

年末年始には久しぶりに忘年会や新年会を催す会社様も多いかと思います。

 

 

 

福利厚生費の範囲は意外と狭い

 

 

会社が従業員の食事代を支払ったら、それは経費として認められると思いますか?

多くの経営者の皆さんは「そりゃ経費だろう」と思ってらっしゃると思います。

 

ではどんな経費になるのでしょうか。

 

税務会計では、同じ経費でも「福利厚生費」なのか「交際費」なのか、それとも「給与」なのか区別して取り扱うことになっています。

交際費であれば、損金不算入として法人に課税されますし、給与なら従業員さんに源泉所得税がかかります。

意外と福利厚生費の範囲は狭いので、注意してくださいね。

 

 

 

従業員が残業した時の食事

 

忘年会や新年会、歓送迎会など、社員全員が対象になるような飲食であれば福利厚生費です。

では従業員が残業している時に会社が支払った食事代はどうでしょうか。

その食事代は、同じく福利厚生費として取り扱います(所得税法基本通達36-24)。

従業員が自分で食事を購入し、例えばコンビニで買ってきたり、

デリバリーしてもらったりのケースも該当します。

レシートまたは領収書で精算すればそれらは福利厚生費となります。

 

ただ、補助費としてお金を渡したけれど、レシート等がない場合があるかもしれません。

その場合は、一回につき300円(税抜き)までは福利厚生費となりますが、それを超える金額は給与となります。

 

必ず従業員にはレシート等をもらうように指導しておきましょう。

さもないと従業員自身の税金や社会保険料が増えることになってしまいますよ。

 

 

 

ランチタイムの食事

 

 

経営者であれば、得意先に従業員と同行した際、ランチをごちそうすることもあるでしょう。

実はここには「うっかり」が潜んでいます。

税務では勤務時間内における食事の支給は、原則給与として取り扱うことになっています。

 

人間が生きていればご飯を三度三度食べるわけですから、

それを会社のお金でおごるという行為は、従業員への給与と税法ではみなしているのです。

「ええ!?」と思うかもしれませんね。

 

ただし所得税法基本通達36-38の2では、

以下の条件を両方満たすなら給与として課税しなくてよい、となっています。

工場経営などでお弁当を注文しているようなケースと同様に扱います。

 

① 従業員が半分以上を負担

 

② 会社の負担額が月額3,500円以下(税抜き)

 

とはいえ、経営者としては恰好がつかないのでおごりたいと思うでしょう。

社内交際費となるケースもありますので税理士に確認すると良いでしょう。

 

ポケットマネーでおごるなら何ら問題ありませんからね!

スマートにおごりましょう。

 

 

 

福利厚生費と交際費の取り扱いは様々なケースで判断がされます。

「勘違い」「思い込み」「飲み屋で他の社長が言っていた」

で処理しないように、信用のおける税理士に確認してみてくださいね。

 

 

 

メルマガ

【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】

は毎月10 日に更新します。

お楽しみに!

2023年12月13日

電子帳簿保存法の宥恕期間が終わります

令和4年度の税制改正で新たに定められた電子帳簿保存法ですが、中小零細企業や個人事業主さんには大変ハードルが高いものでした。

それで2年間の宥恕期間が設けられ、この間に準備をしておいてくださいね、ということになったのです。

その宥恕期間がこの年末で終わってしまいます。

それに合わせて大々的にテレビなどで会計ソフトのCMが流れてきます。

それらを見るとかえって混乱してしまい、どうしたらいいかますます悩ましくなりますね。

 

 

 

電子帳簿保存法とは

 

 

電子帳簿保存法とは、帳簿・決算関係書類・取引先とやりとりした請求書・領収書などの書類を、データで保存するためのルールを定めた法律です。

電子帳簿保存法は2021年度に改正が行われ、今から2年ほど前の2022年1月1日より施行されました。

この改正で大きく変わったのが

 

「電子取引データ保存」の義務化

です。電子取引情報はデータで保存しなくてはなりません。

 

 

 

2024年からはどうなる

 

 

電子帳簿保存法は、2022年1月1日より施行されているものの、

電子取引データ保存義務化に関しては、2年間の宥恕措置期間が設けられています。

具体的には、2023年12月31日までは、電子的に取引した請求書や領収書をプリントアウトして、

税務調査等の際に提示または提出ができるようにしていれば問題なりません。

 

では2024年1月1日からはというと、「令和5年度税制改正大綱」によれば、

一定の要件を満たす場合、2024年1月以降も、引き続き電子保存の猶予が認められるとされています。

 

一定の要件とは、

相当の理由があると判断された場合、かつダウンロードの求めや出力書面の提出に応じられる場合」です。

 

ただし、「相当の理由」の明確な基準は、まだはっきりとしてないんですね。

相当の理由があると認めるのが所轄税務署長なので、これでは匙加減となってしまい不安が募ります。

 

『電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】』問61によると、「資金繰り」や「人手不足」のキーワードが示されています。

この辺りが判断基準となりそうではあります。

 

 

まずはできることから始めましょう

 

 

まずは義務化となる電子取引の状況を把握することからはじめましょう。いわばデータの棚卸しです。

すべての取引を整理し、電子取引に該当するかどうか確認します。

メール添付でのやりとりだけでなく、紙を介さない取引すべてが電子取引に該当ですからね!

電子取引に該当する取引は以下となります。

 

  • メール添付で交付・受領した請求書
  • ウェブサイト上でダウンロードした領収書
  • スマホアプリ決済の利用明細
  • クレジットカードの明細
  • インターネットバンキングの振り込みに関する取引情報
  • クラウドサービスで交付・受領した請求書や領収書など

 

次に保存する場所や方法を決めます。

電子取引のデータは、適切な取引を証明するため、

次の4つの要件のうちいずれかを満たした状態で保存します。

 

①タイムスタンプが付与されたデータを受領する

②速やかにタイムスタンプを付与する

③データの訂正や削除をした履歴が残るシステムまたは訂正や削除ができないシステムを利用する

④改ざん防止に関する事務処理規程を作って守る

 

中小零細企業や個人事業主さんなら④が現実的に思います。

 

 

ウチは「相当な理由」にあたると自己判断せず、

専門家である税理士と相談しながら、慌てず進めていきましょうね。

 

 

 

 

メルマガ

【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】

は毎月10 日に更新します。

お楽しみに!

2023年11月13日

年末調整はわが国特有?

11月になると、税理士事務所は年末調整の準備に入ります。

今年度の改正点を確認したり、お客様への案内を作成します。

皆さんのお手元にも生命保険の控除ハガキが届き、税務署からの封書も届きます。

 

 

源泉徴収制度の始まり

 

 

サラリーマンの方なら、ご自身の所得税(国税と住民税)はお給料をもらう時に天引きされています。

天引きされた税金は本人を代理して会社が納めます。

これを源泉徴収といいます。

お金が発生する元(これを源泉といいます)から集めるものです。

では、源泉徴収制度はいつから始まったかご存じでしょうか。

 

わが国では昭和16年に始まりました。

太平洋戦争の開戦の年です。

 

「わが国の源泉徴収制度は(中略)日中戦争のさなかの戦時増税、大衆課税を目的に始まった」

「そして年末調整は(中略)不足しがちな徴税能力を補うため、国が雇用主に手数料を支払って徴税業務を代行させたのが嚆矢であった」

(源泉徴収と年末調整~納税者の意識をかえられるか ~齋藤貴男著 中公新書 1996年)

※嚆矢(こうし)…物事のはじめ

 

戦争はお金がかかります。

そして税金を手っ取り早く徴収しようとするときは「大衆課税」によることが政府の考え方でした。

しかも徴収の事務は会社にやらせるのです。

この制度は徴収する側の論理で始まったのですね。

 

 

戦後も残った源泉徴収制度

 

 

戦争が終わっても、源泉徴収制度は残ることになりました。

戦後の税制はGHQが主体となり、アメリカからやってきたシャウプさんが指導し作られました。

シャウプ勧告により作られたので、シャウプ税制と言われています。

 

実は源泉徴収制度はなくす予定だったようです。

しかし日本の官僚は反対して、源泉徴収制度を残し、年末調整で所得税を確定させる方法にしました。

 

年末調整は、終戦後の国の徴税能力が不足していた為、国の徴税業務の手間を省き、税収を上げることが主目的だったようです。

 

「この税金の清算には、通常の場合はいわゆる確定申告を税務署へ提出して行う。

しかし、給与所得者は、大部分一箇所の給与の支払者から支払われ、

その支払者のもとで確実に清算することが可能であるので、

これらの者がいちいち確定申告を行うことは、給与所得者自身も、大変手数を要するので、

給与の支払者が給与所得者にかわつて税額の清算を行うこととしている」

(改正源泉徴収 名古屋国税局法人税課内源泉所得税研究会編 日本書館 1953年)

 

このように、会社は源泉徴収法によって、天引きした所得税を定期的に国に納付する義務を負っています。

しかし源泉徴収や年末調整を行うために莫大な事務コストを負っています。

あらっぽい言い方をすれば、国は無料で徴税の手間をアウトソーシングしているともいえるでしょう。

 

まあ、私たち税理士もここにお仕事があるわけで、コメントする立場にないのですけどね(苦笑)。

 

 

年末調整は特有なもの

 

 

年末調整が残ってきたひとつの要因として、源泉還付があるかもしれません。

昭和から平成の時代は、お給料は振込ではなく、現金でお給料を手渡ししているところも多かったです。

我が国の源泉徴収制度では、毎月の天引き分を多めに徴収しておき、

年末に確定計算すると原則還付されるように設計されています。

 

年末には毎月のお給料に加えて、年末調整の還付金が上乗せされて支給されます。

サラリーマンの方からすれば、お年玉やモチ代をもらったように、得した気分を味わうというわけです。

 

欧米では源泉徴収制度はそれほど積極的に行われていません。

ドイツが行っていますが、年末調整で還付するというのでなく、確定申告して追徴で支払うことになっています。

 

年末調整をして還付するのはわが国独特の制度といえるでしょう。

 

令和になった現在、電子申告が普通になり、税金の計算もAIがやってくれます。

お金の出納だって電子マネーやクレジットカードです。

 

昭和の戦後と比較すれば、大きく様変わりしています。

制度を考え直していいかもしれませんね。

 

皆さんの稼いだお金が年末まで国に預けているということは、

金融の考え方からすれば、利息をもらわないといけませんよ(笑)。

 

 

 

メルマガ

【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】

は毎月10 日に更新します。

お楽しみに!

会社のこと・税務のこと何でもお気軽にご相談下さい

最近の投稿
カテゴリー
アーカイブ