2025年8月12日
海外に居住する扶養家族がいるときの税金計算は
サラリーマンなら、日本国内に住んでいる場合、会社が行う年末調整で確定申告が済んでしまいます。
だからご自身の税金計算をゼロからやんなきゃ!ということはありません。
もし、子どもが海外に長期留学するようなとき、どうなるのでしょう。
税金計算をするのは、源泉義徴収義務者である会社か事業主さんとなりますから、取り扱いには注意が必要です。
国外非居住者は扶養親族として税金計算をする
非居住者とは、日本における居住期間が1年未満の人、または生活の中心が国外にある人のことです。
例えば、外国人が日本に単身で出稼ぎに来ている場合、本人さんは「居住者」となり、原則は日本で税金計算をして日本に納税をします。
本国に住んでいる家族は「非居住者」となります。
このときの家族は国外非居住者となりますが、扶養控除が受けられるかという問題になります。
この対象になる方を国外居住親族と言います。
国外居住親族は、基本的に扶養控除を受けられますが、要件が定められています。
わが子が海外の大学に長期留学している、それも同じケースとなります。
国外居住親族が控除対象になるには
国外居住親族が控除対象扶養親族になるのは二段階でチェックします。
まずは扶養親族かどうか。
- 所得がある人と生計を一にする人
- 扶養親族の所得金額が48万円以下の人
この二つが該当すれば扶養親族となります。
生活するお財布が一緒で、お小遣い程度しか稼いでいない方、そんなイメージでしょうか。
さらに、扶養親族の年齢でチェックします。
ここで該当すれば控除対象扶養親族となります。
要件は次のいずれかに該当することです。
- 年齢が16歳以上30歳未満の人
- 年齢が70歳以上の人
- 年齢が30歳以上70歳未満の人のうち、次のいずれかに該当する人
A)留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人
B)障がい者
C)所得者からその年において生活費または教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている人
ひとつひとつ当てはめる必要があり、ちょっとややこしや~
要件を満たしたしている書類が必要
要件を満たしていても、提出しておく必要がある書類があるので要注意です。
- 非居住者に関する親族関係書類
- 送金関係書類
- 留学証明書(加えて38万円以上送金等関係書類)
お金が海外へ逃げていくことにはチェックが厳しいです。
ここでうっかりすると、損をすることがありますから要注意ですぞ。
例えば、海外の家族へ送金する場合には、各人向けに送金するということです。
つまり妻へ子どもの分をまとめて送金したようなケースだと、子どもたちの扶養親族の要件が満たせない!
えっ!?
それから留学をしているわが子へ送金するのを、2年分を一括で支払ったりすると、送金要件が満たせず、本来2年分の扶養親族控除が一年かぎりに!
えっ!?
実態課税の原則からすると疑問を持っちゃいますが、規定上仕方ありません。
うっかりしないように、本人だけでなく会社の経理部の方も知っておいて必ず共有してくださいね。
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お楽しみに!
2025年7月10日
源泉徴収税のポイント
毎月10日は源泉徴収の納期限です。
7月10日は小規模の会社で特例納付を選択している事業者の納期限でもあります。
源泉所得税の対象について注意すること
源泉所得税は、徴収した日の属する月の翌月10日までに、税務署に支払います。
ここで徴収した日とは、源泉徴収の対象となる支払いを行った日です。
例えば、お給料なら5月末日で締めたものを6月15日に支払ったとします。
すると徴収した日は6月15日となるため、
天引きされた5月分の税金は7月10日までに支払うこととなります。
また、源泉徴収するのは給料だけではありません。
賞与や退職金、その他に士業の報酬や原稿料、デザイン料や翻訳料の報酬なども対象となります。
何が対象になるかは、国税庁のHPに限定列挙で挙げられていますので、
一度ご確認いただくとよいと思います。
納期の特例と納付方法
納期の特例とは、毎月10日に納付するべき源泉所得税を、
年に2回、6か月分をまとめて納付できる制度です。
利用できるのは、給与の支給人員が常に10人未満の源泉徴収義務者です。
「常に」とあるので臨時的に超える場合は含みません。
要件は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄の税務署に提出することです。
納める金額は、給与なら税務署から送付される「源泉徴収税額表」から算定します。
その他の報酬は100万円以下なら10.21%、
100万円を超える分には20.42%と決まっています。
(ただし司法書士などへの支払いは100万円を超えても10.21%もありますので要確認)
間違いをしやすいのは納付の時期で、
給与以外の個人へ支払った報酬は、納期の特例を選択していても、原則通り支払った翌月に源泉税を支払わなければなりません。
退職金と士業への報酬だけが半年まとめて納付となります。
うっかり失念すると追徴ばかりか罰金も請求されます。
給与の支給人員が常時10人未満でなくなった場合は、
速やかに「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出してくださいね。
退職金を支払うと
退職金は、給与や賞与と違い、所得税法上、退職所得と言って分離課税で計算し、確定申告が必要となります。
しかし「退職所得の受給に関する申告書」を事業主に提出すれば、
源泉徴収だけで課税関係が終了し、確定申告は必要ありません。
「退職所得の受給に関する申告書」は税務署長に提出とありますが、実務上は会社が保管します。
住民税だって源泉徴収
住民税も源泉徴収で納めるのが原則です。
少し前までは「普通徴収」と言って(普通が例外なんです!)個人で支払うことができましたが、
最近はお役所からの指導で、給与天引きが徹底指導されています。
住民税は年末調整に基づいて翌年5月ごろに金額が確定し、雇用主に通知されます。
新入社員は2年目の方が、手取り額が低くなるのはこのためです。
大きな税務署では、源泉徴収部門が存在します。
源泉徴収の誤りを調べるために調査も行われます。
ルーチンでうっかりがないように、日ごろから気をつけておきたいですね。
そういう時は税理士に確認してくださいね。
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2025年6月12日
交際費が損金になるポイント
事業をしていると、様々な場面で「交際費」が発生します。
経営者の皆様から「領収書があれば経費になるよね?」
よく言われますが、経費とは何か?を正しく理解する必要があります。
経費と損金
経費とは、事業に必要な支出のことです。
経費は会計上の概念で、企業会計原則などに定められたルールに則っていれば、全額計上が認められます。
一方で、法人税法上の概念である損金の場合は、会計上の費用であっても、
一部または全部の計上が認められないことがあります。
法人税の計算では、計上自体を認めるべきではない費用や、
計上できる金額に制限を設けるべき費用があるのです。
税金計算する時は、これらは「有税経費」と言われ、
経費で支出したにもかかわらず税金も支出することになり、お金が会社から出て行ってしまします。
交際費が損金になるのは
交際費はもちろん経費、と言いたいのですが、税務上は要注意です。
現在、損金に含められる交際費の上限は、
① 資本金が1億円超の大企業なら「交際費のうち、飲食費の50%」
② 資本金が1億円以下の中小企業なら「交際費のうち飲食費の50%か、または800万円のどちらか多い方」
③ 個人事業主は「上限なし」
と定められています。
なんだ、個人事業主だったらいくらでもいいんだ!
交際費という勘定科目でなければいいのか!
いえ、それは誤りです。
個人事業主といえども、「事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答このほかこれらに類する行為のためにする支出」でないと経費として認められません。
個人の所得税の調査では、個人のプライベートとの切り分けを厳しく見られます。
交際費ではなく他の勘定科目でも、税法は実質で判断することにされています。
会議費や旅費、福利厚生費にしていても、内容が交際費に相当するものは交際費として損金判断がなされます。
交際費が損金となるポイント
一つ目のポイントは、「仕事に関係があるのか」。
例えば社長が一人で飲みに出かけたものは、たとえ領収書があってもプライベートの飲食です。
部下を連れて飲みに出かける「社内交際費」でも、特定の部下とだけしょっちゅう飲みに行くようであれば、
交際費ではなく給与として源泉課税されることになるでしょう。
二つ目のポイントは、「仕事に関係のある飲食と証明できるか」。
領収書はもちろん、参加者の氏名、会社名など関係性を示すもの、人数を記録しておくことが税務調査時に役立ちます。
三つ目のポイントは、「その額が常識範囲内か」。
例えば取引先との二人での飲食にかかわらず、100万円だったらいかがでしょうか。
税務調査では、その事実認定は厳しく追及されます。
あくまで常識範囲というのは定まっていないため、取引記録や関係性など合理的な説明が出来れば、損金として認められるでしょう。
少し前に巨人の坂本選手が、税務調査で2億4千万の申告漏れを指摘されました。
銀座のクラブでの飲食を経費で申告したが否認されたようです。
もちろん、クラブやキャバクラなど女性が接待するお店(風俗店など怪しいところはダメですよ)で、
得意先を接待することは交際費として認めらます。
ただし状況や金額によっては否認のリスクがあると言えます。
そもそも交際費に含まれない「飲食代1万円ルール」もあります。
この経費は「交際費」?
迷ったら信頼のおける税理士にしっかり教えてもらってくださいね。
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2025年4月16日
給与所得者の扶養控除申告書(マル扶)
4月が始まりました。
新入社員が期待と不安の中、社会人としてスタートします。
入社するとお給料をもらう前に、会社へ提出しなければならない書類がたくさんあります。
そのひとつが「給与所得者の扶養控除申告書」。
マル扶と私たちが呼んでいる書類です。
給与所得者の扶養控除申告書とは
給与所得者の扶養控除申告書は正式な表記は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。
従業員の所得税を計算するためには、扶養状況を勤務先に申告して、
該当する所得控除を受ける必要があります。
会社は扶養控除申告書に記載された従業員の扶養状況をもとに、
毎月の給与計算や年末調整を行っています。
扶養控除申告書は、正社員であろうとも、非正規社員(パートさん)であろうとも、
その雇用形態に関係なく、給与をもらう全ての従業員が勤務先に提出します。
わが国の給与所得者の税金計算は
給与所得者(サラリーマン)の所得税の計算は通常は年末調整で行われます。
年末調整とは、会社が従業員の支払う所得税を確定計算することです。
具体的には、毎月の給与や賞与から差し引かれた源泉徴収税額と、
本来納めるべき所得税額の差分を精算する手続きになります。
毎月のお給料から差し引く源泉徴収額を決めるために、
扶養控除申告書に書かれている情報が必要なんですね。
扶養控除申告書に書く内容は
まず個人の情報を書きます。
- 氏名
- 個人番号(マイナンバー)
- 住所または居所
- 生年月日
- 世帯主の氏名
- 世帯主と申告者の続柄
- 配偶者の有無
それから扶養家族です。
- 源泉控除対象配偶者
- 扶養親族
他に特別に該当することがあれば、書き加えます。
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
最後に住民税にかかる事項を書きます。
これだけあると、自分がどれに該当するかも分かりにくいですね。
経理部の方や先輩、顧問税理士に聞きながら書くといいでしょう。
またパートさんであれば、他の会社と掛け持ちでお給料をもらっていたりします。
そんな時は、メインの会社(主たる)とそうでない会社(従たる)と分けます。
それぞれを甲欄源泉と乙欄源泉といいますが、源泉税額が変わります。
いきなり本格的な税の取扱いに面食らう新社会人の方も多いでしょう。
そんなときこそ、信頼のおける税理士に尋ねてみましょうね。
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2025年3月10日
所得税の累進課税、勘違いしてませんか?
間もなく確定申告期限です。
すでに申告は終わりましたか?それとも追い込み中?
さて
先日こんな質問がありました。
「転職することになり、給料が上がるのは嬉しいのですが、
税率も上がってしまうので、手取りが減っちゃうんでしょうか、、、?」
「え、どういうこと?」
「900万円を超えると累進課税で税率が23%から33%と10%も上がるなら、
900万円ぎりぎり下回るようにした方がいいですかね?」
アレレ~
累進課税について、勘違いがあるようです。
わが国の所得税は累進課税です
累進課税制度は、課税金額が高くなるほど税金が高くなる仕組みです。
だから儲け(所得)が多い人ほど税金が高くなります。
ちなみにわが国で累進課税制度を採用しているのは、所得税、相続税、贈与税の3つとなっています。
ところで、
累進課税には、単純累進課税と超過累進課税のふたつがあります。
単純累進課税は、課税金額が一定額を超えると、課税金額全体に高い税率をかけます。
一方で超過累進課税では、課税金額が一定額を超えると、超えた部分のみに高い税率がかかります。
単純と超過での税額の違い
さっきの質問は「単純累進課税」だと勘違いしたのですね。
日本で使われているのは超過累進課税です。
税率は以下の通りに定められています。
- 195万円以下 5%
- 195万~330万円以下 10%
- 330万~695万以下 20%
- 695万~900万以下 23%
- 900万~1,800万以下 33%
- 1,800万~4,000万以下 40%
- 4,000万超 45%
例えば、給与所得が910万円だったとしましょう。
195万までは5%ですので、税額は9万7500円
195万~330万までは10%ですので、税額は13万5千円
330万~695万までは20%ですので、税額は73万円
695万~900万までは23%ですので、税額は47万1500円
900万~910万までは33%ですので、税額は3万3千円
これらを合計します。
146万7千円が支払う税金となります。
もしこれが単純推進課税だと
910万×33%=300万3千円
倍以上ですね!
緩やかに税金が増えるように設計されているんですね。
ほっとしました。
巷では、お金持ちの方が「日本は税金が高くて半分税金に持っていかれる」
と聞きます。
たしかに住民税が10%ですので(住民税は一定率です)
最高税率は45+10=55%となります。
ウン億円も稼ぐ人は、そう感じるかもしれませんね(汗)。
税金がかかるのは年収額ではありません
「あなたの年収はいくらですか?」
サラリーマンなら年収額が気になる所ですが、
税金計算では収入額に税金がかかるわけではありません。
お給料の経費にあたる給与所得控除を引いたあとの、
利益に相当する給与所得、
それから個人的な事情を加味した所得控除を引いた後の
課税標準に税率をかけて計算します。
だから年収が900万だとしても、給与所得は705万円、
所得控除が仮に150万あれば、課税標準は555万円になります。
早とちりしないでくださいね。
サラリーマンだと通帳の手取り額を気にしますが、
税金の計算の理解が深まれば
「なるほど、そういうことか」と思うかもしれません。
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2025年1月10日
消費税の会計処理は税込み経理、それとも税抜き経理のどちらがいい?
一昨年の秋からインボイス制度が始まりました。
いままで免税事業者だった方で、課税事業者になった方はおよそ15%いるとのことです。
免税事業者が課税事業者になると、会計では消費税を考慮した経理を行います。
それが税込み経理と税抜き経理です。
税込み経理とは
税込み経理は、取引に伴う消費税を取引本体価格に含めて処理する方法です。
メリットとしては会計処理自体は容易であること、
損益計算での売上金額や支払金額がキャッシュの収支と一致することです。
一方デメリットは、売上や仕入が消費税分だけ含まれて表示されてしまうため、
損益計算上では期中の利益が大きく見えてしまうことです。
決算のときに消費税計算をして経費計上するため、最後の最後に利益がガクッと減って見えてしまいます。
また支払う消費税額も、期中では財務諸表を見てパッと見て分かりません。
税抜き経理とは
税抜き経理とは、消費税分を本体価格とは別に処理する方法です。
メリットとしては、利益が正しく表示されること、
取引のたびに、仕入にかかる消費税を「仮払消費税」、売上にかかる消費税を「仮受消費税」とするため貸借対照表より支払う消費税が分かることです。
一方でデメリットは帳簿付けが複雑になり手間が増えてしまうことです。
どちらが有利なの
会計基準では原則は税抜き経理とされています。
税込み経理は、税務で認められている減価償却資産の特別償却を行うような場合、
一定の金額基準が設けられているため適用しやすくなります。
税抜き経理は、本体価格のため交際費課税や固定資産税、少額資産の特例措置を受ける場合、有利に働きます。
例えば、税抜価格が9万8,000円のパソコンを取得したと考えてみましょう。
税抜き経理方式を採用していれば、取得価額は10万円未満ですから、
減価償却をせずに一括経費計上が可能です。
しかし、税込経理方式の場合は、税込金額は10万7,800円となるため、
原則として一括計上ができません。
経費計上できる金額が大きくなるほど課税所得は減り、
その年の法人税や所得税を抑えることが出来るというわけです。
また、取得価額が10万円未満で一括計上した減価償却資産は、
市町村に支払う償却資産税の対象にはなりません。
減価償却資産に関わる節税面を考えれば、税込み経理方式よりも税抜き経理方式の方が有利といえます。
やはり手間はかかるけれど、税抜き経理がおススメですね。
とはいえ「会計の処理はよくわからない」方も多いでしょう。
そういうときは信頼のおける税理士にお尋ねになってくださいね。
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2024年12月10日
給与所得控除と基礎控除
さて先の選挙で国民民主党が公約した「103万円の壁」の引き上げが議論されることになりました。
ところで皆さんはこの103万円の壁についてどう理解していますか。
税金がかからない給料の上限、ハイ正解です。
ではもう少し深堀りしていきましょう。
税金がかかるのは儲けです
税金は収入の金額全部にかかるのではありません。
税金は儲け、会計の言葉でいえば利益に税金がかかります。
会社でいえば売上があり、経費があり、その差額が利益となります。
サラリーマンでいえば、給与明細総額、つまり収入金額が売上にあたります。
では経費はどう計算されるのでしょうか。
サラリーマンといえども、パソコンを買ったり、本を買って勉強したり、
時にはセミナー代を払って勉強をすることもあるかもしれませんね。
これらはもちろん経費になりますので、集計をして確定申告してもちろん構いません。
税務ではサラリーマンの経費相当分を給与所得控除として利益を計算します。
税務では利益と言わず所得といいます。ややこしいですね。
給与所得控除は収入金額の25~30%くらいに定められていますので(高額給与になると一定額です)、
ほとんどの方が実費の経費計算を選択しません。
給与所得控除の最下限は55万円となっています。
だから年間給与が55万円までなら、利益はゼロ、
だから税金はかからない、ということです。
基礎控除とは
基礎控除とは何でしょうか。
これはすべての納税者が持っている非課税枠だとお考え下さい。
わが国では憲法25条に生存権を定めており、これに基づくものとして基礎控除が定められていると考えられます。
つまり最低限の生活保障という性格を持ちます。
基礎控除の金額は長らく38万円でしたが、2019年から48万円に引き上げられています。
103万円の壁の正体
先の述べた給与所得控除の55万円と、基礎控除48万円を合わせると103万円になります。
これが103万円の正体です。
だから両方足した控除の枠内であれば、税金はかからない、ということです。
でも基礎控除の48万円ってどうなんでしょう?
48万円は12か月で割ればひと月4万円です。
「え~?月に4万円では生きていく保証なんて得られないよ!」
私もそう思います。
いまどきなら10万円くらいが妥当かな、と思います。
であれば基礎控除は120万円。
給与所得控除を合わせれば175万円。
これが適正な非課税収入の下限となるのかもしれませんね。
ちなみに
年金収入の場合、65歳以上の方の年金控除は110万円です。
お年寄りには考慮されているようです。
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2024年9月10日
定額減税とふるさと納税
6月から始まった定額減税ですが、お給料明細をみて
「銀行への振込額が増えた!」
と実感された方もいるでしょうね。
ところで、ふるさと納税はされていますか?
返礼品がもらえるし、住民税の控除等の魅力から、今年もふるさと納税をやろうと思っている方もいるのではないでしょうか。
では定額減税が行われた今年はどうなるんでしょう。
住民税の内訳とふるさと納税
ふるさと納税は、寄附した年の翌年度の個人住民税から一定額の控除を受けることができます。
そしてその特例控除額の控除上限額については、「所得割額」の2割とされています。
ここで「所得割額」とは何でしょう?
個人住民税は、2種類の計算方法で計算されたものの合計額です。
そのひとつが「所得割」で、もうひとつが「均等割」です。
所得割は所得(収入)の多寡によって決まり、均等割は定額(例えば私の住む名古屋市では4,000円)と決まっています。
ふるさと納税をする場合、収入が少ない年は収入があった年と同じ金額を寄付しても、
上限を超えてしまった金額については税金控除の恩恵が受けられないのです。
ふるさと納税に影響のケース
一定の配偶者を有する場合、定額減税が行われたら、令和6年中に寄附する額が令和7年度分のふるさと納税の控除上限額に影響するケースがありえるので要注意です。
住民税における定額減税は、原則として令和6年度分の所得割額から減税額(本人:1万円、控除対象配偶者又は扶養親族:1人につき1万円の合計額)が控除されます。
しかし、夫が高額所得者(毎月のお給料が約100万円以上の方とイメージしてください)の場合、専業主婦の妻の分の減税額1万円は、令和7年度分の所得割額から控除されることになっているのです。
仮にこの方をAさんとしておきますね。
令和6年度分の所得割額については、「定額減税 前 の所得割額」をベースにふるさと納税の控除上限額を算出するという特例が設けられています。
ですので、定額減税は令和5年中に行った寄附額には影響しませんでした(地法附則5の8③)。
ただしこの特例は、令和6年度分の住民税に限った措置であり、令和7年度分には設けられていません。
すると令和7年度分の控除上限額は、「定額減税 後 の所得割額」をベースに算出することになります。
そのため、Aさんが、令和6年中にふるさと納税を行い、令和7年度分の住民税でふるさと納税の控除を受けようとすると、
控除上限額のベースとなる所得割額は、同配偶者の減税額1万円が控除された後の額となるのです。
ふるさと納税は、年末に駆け込みで行う方も多いでしょう。
その場合は、令和7年度分で控除される定額減税額があるのかを確認し、定額減税後の所得割額をベースにした控除上限額を事前につかんでおくとよいでしょう。
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2024年6月10日
納付書が来なくなる!?
税理士事務所の主な仕事の一つに、申告書の作成と代理しての申告があります。
法人様には、決算日から3週間ほど過ぎると税務署から封筒が届きます。
封筒には、まっさらな税務申告書や手引き、納付書が入っています。
それらを税理士事務所が預り、申告の手続きをすすめていきます。
しかし電子申告(e-Tax)が増えてきたため、税務申告書や手引きなどは同封されなくなりました。
そして、この5月分からはなんと!納付書も送ってこないということになったのです。
送ってこないから納めなくていい、なんてことはありませんからね(笑)。
事前送付を行わないこととなる方
国税庁は「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」を実現するとして、キャッシュレス納付を大々的に進めています。
そこで以下に該当する方には納付書を行わないことにしました。
- e-Taxにより申告書を提出している法人の方、e-Taxによる申告書の提出が義務化されている法人の方
- e-Taxで「予定納税額の通知書」の通知を希望された個人の方
- ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)した方
- インターネットバンキングによる納付した方
- クレジットカード納付した方
- スマホアプリ納付した方
- またはコンビニ納付(QRコード)により納付された方
法人と個人で取り扱いに違いがありますので、ご自身がどちらかは確認してみましょうね。
決算時の申告であれば、税理士にまかせていれば大丈夫でしょうが、
ご自身で申告している方は要注意です。
期限までに納めないと、加算税や延滞税がかかることになります。
また、中間納税(予定納税)だと「うっかり払い忘れた!」ことも起こり得そうです。
ただ変わらず消費税の中間納税だけは送ってくるようです。
消費税の金額は大きいし、赤字企業でも支払うことになることも多いため、
徴収漏れは困るということでしょう。
キャッシュレス納付の種類
納税者としては、「そんな~」と思っても対応していくしかしょうがありませんね。
メリットとしては
- 自宅やオフィスから納税できる(銀行へ行かなくて良い)
- PCやスマホで簡単に手続きができる
- 現金管理は不要になる
と国税庁は言っています。
確かに便利ですね。
キャッシュレス納付には次のような方法があります。
- 振替納税(個人)
- ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
- インターネットバンキング
- クレジットカード納付
- スマホアプリ納付
この機会に切り替えよう、そう思っている方ぜひトライしてみてください。
詳しく知りたいな、そう思ったら信頼のおける税理士に尋ねてみてくださいね。
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2024年5月13日
定額減税のやり方は難解!?
6月から始まる定額減税。
従業員へお給料を払う会社ではその準備をする必要があります。
そこで税理士事務所では、具体的なやり方をお客様へアナウンスしているところです。
5月の間に定額減税の対象になる扶養家族の人数を確認して、給与計算ソフトに入力していただいています。
一方で、ソフトを使っていない会社さんは、アナログで管理していただくことになります。
定額減税の基本的なやり方
個人事業主さんは確定申告で行うので、ここでは割愛してお勤めの方でお話します。
わが国では源泉徴収制度といって、毎月のお給料から税金を天引きし、会社が本人に代わって支払っています。
会社は源泉徴収義務者といって、必ず従業員さんから税金を預かり、納めなければなりません。
天引きする税金金額は定めがあり、毎月のお給料の金額、扶養家族の状況で変わります。
定額減税は、6月に天引きする金額と相殺する形で行われます。
具体的に見ていきましょう(簡単に説明するため社会保険などは省きます)。
お給料が50万円で毎月天引きする税金が3万円だったとしましょう。
通常であれば、6月の手取りは47万円です。
定額減税を実施すると、天引きする3万円と相殺されるので
手取りは50万円となるのです。
もし扶養家族がいると金額が変わります。
お給料をもらう方が男性だとして、奥さんと子どもが2人いれば、自分のほかに3人分の減税がされます。
3万円×3人で9万円。
毎月の天引き額が3万円ですので、7、8、9月も手取りが50万円となるのです。
7月に賞与があれば、もっと早く実施されることになります。
扶養家族の人数はどこで数えるの
お勤めの方は源泉徴収義務者である会社に、年の始めに、または勤めを開始したときに
「給与所得者の扶養控除等申告書」(通称:マル扶)
書いて提出することになっています。マル扶を見れば扶養家族の人数が分かります。
しかし、ここに記載しない場合があるので要注意です。
ポイントになるのは、配偶者の取扱いです。
奥さんが所得48万円以下(給与であれば103万円相当)であれば、同一生計配偶者といって所得控除の対象として記載します。
ところが、本人の所得が900万円(給与であれば1,095万円相当)を超えている方は、
たとえ奥さんが専業主婦だとしても、記載していない場合があります。
うっかりカウントが漏れてしまう可能性があるから要注意ですね。
所得控除と定額減税では、異なった取り扱いとなっているので間違いを起こしやすいのです。
共稼ぎの方は
夫婦共稼ぎの方は、どちらで定額減税が受けられるのでしょうか。
配偶者分をうっかり各々で定額減税してしまったら、税金を追徴で支払うことになるかもしれません。
定額減税のルールでは、「給与所得者の扶養控除等申告書」(通称:マル扶)に主たる給与と記載があれば実施されます。
お給料を何社からもらっているような方は、主たる給与の会社から定額減税がなされます。
夫婦ともにバリバリ働いていれば問題ないのですが、
奥さんがパートで働いている場合はどうなるの?という疑問があります。
この場合でも、ルール通り主たる給与の会社で定額減税が行われます。
これって二重で受けられるってこと?
いえ結果的にはそうなりません。
年末調整において、
103万円を超えなければ、自身の定額減税はなされず、夫の方で定額減税が行われます。
103万円を超えた時は、夫の方で行った定額減税は取り消されます。
制度上は、最終的には年末調整で調整されるようになっているのですね。
ただいろいろなケースが想定されます。
つまりケースバイケースで考えなければならないし、
手続きが煩雑なのは間違いないです。
最終的に年末調整で調整されるなら、わざわざ6月にやらなくてもいいのにな~と
正直思います。
ややこしや~
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