2023年10月14日
簿記のルーツ
今回は簿記のルーツについて紹介いたします。
簿記とは帳簿をつけること。
今でこそ会計ソフトを利用していますが、ひと昔前、21世紀のはじめでも帳簿はなお手書きのままでした。
ここで質問です。
簿記はいつ、どこで誕生したのでしょうか。
アメリカ?イギリス?
いいえ。答えはイタリアです。
イタリア商人と東方貿易
時は15世紀、イタリア商人が得意としていたのは東方貿易です。
香辛料(シナモン、胡椒、ナツメグなど)、ワイン、茶、陶器、織物といったあこがれの品は中国やインドから陸路と海路を通じてヨーロッパの玄関口であるイタリアに運ばれてきました。
特に儲けの多かったのは香辛料です。
高価なうえにかさばらないため商人たちにとっては大変ありがたい商品でした。
冷蔵庫がなかった当時、肉など痛みの速い食品を保存させ、あるいは臭いを消して香り付けするため、香辛料はなくてはならないものでした。
また香辛料は「薬」の役割も期待されており、ヨーロッパの人々には絶大な人気でした。
それを独占したのがイタリア商人だったのです。
記憶から記録へ
旅する商人にとって「資金繰り」は大変です。
取引が多くなれば精算も大変です。
記憶では間違いが起きるというもの。
そこで取引を記録することが求められるようになりました。
帳簿をつけるための技術、簿記の技術がここに誕生したのです。
意外かもしれませんが、イタリア人が今の会計の基礎を作ったのです。
記録するには紙が必要
簿記の誕生にはもうひとつ大きな変化が影響しています。
それはファッションの変化です。
もともとイタリアでは繊維産業が盛んでした。現在でも高級ブランドはイタリアですね。
なかでも毛織物が早い段階で作られていましたが、東方より綿衣料がもたらされると木綿産業は一気に台頭します。
当時は宝石職人が珊瑚を加工して作ったボタンと綿衣料を合わせることが大流行しました。
この木綿産業の発展で思わぬ産業が発展しました。
それが「紙」の生産増加です。
紙は古くはアラビア時代にヨーロッパへ伝えられましたが、パピルスというように植物から作られていました。
木綿産業の工程から出たぼろ布を細かく裂き、腐敗桶で作るパルプ、いわば「廃棄物」のリサイクル品が紙として大量に出回ったのです。
貴重で高価だった紙が安価に市場に出回り、「記録紙」として簿記の発展を加速させたのです。
歴史を見ると、面倒で苦手意識を持ってしまう簿記も、
なんだか楽しくなりますね。
こうして生まれた簿記があるからこそ、ビジネスが発展し、
私たち会計人の存在意義があるというものです。
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2023年8月10日
経営のカイゼンは勘定科目のカイゼンなり【売上高】
私たち税理士が扱っている業務の範囲を一言で言うなら、「税務会計」となります。
税務は、税務申告書を作成したり、税務相談にのったりする仕事で、
会計は、適正な決算書を作る仕事です。
決算書は株主や銀行、税務署などステークホルダーへの報告用ではありますが、
一方では経営に役立つものであるべきでしょう。
「経営のカイゼンは勘定科目のカイゼンなり」
ここに私たち会計人がこだわる理由があります。
損益計算書を見るポイントは3つ
損益計算書を見るとたくさんの勘定科目が並んでいて、見づらいなぁと思いますが
見るポイントは3つです。
損益計算書の仕組みは
売上高(収益)-費用=利益
「収益」「費用」「利益」この3つの要素を押さえればOKということです。
売上高ってなんだ?
「売上高」。経営者なら誰でも使っている言葉です。
では売上高を定義してみてください。いかがですか?
さまざまな答えが出てくるのではないでしょうか。
売上高はその会社の事業規模を表す
業種が違う方との会話で、売上高を尋ねてみてもあまり意味はありませんよ。
自分の会社をみる時に大切なのは、他社との比較ではありません。
売上高は3年間くらいを並べて比較することが大切な視点です。
元氣玉経営パートナーでもある私の売上高の定義は
社長が熱い思いを語り、「顧客の創造」を表したもの
師である福田先生の教えでもあります。
商品の質を磨き、納期を守り、価格をつけて、そしてダントツ商品にしてゆく。
市場は絞り込み、社長がトップセールスマンとして機能する体制にする。
自信に満ちた熱き思いをお客様に語る。
それが売上高と考えます。
会計人である私たちは、社長と一緒にその検証をいつも行っています。
熱い思いを語っているか。
魂を込めて商品を作っているか。
社長がトップセールスマンとして汗をかいているか。
目指す市場は明確か。
これらすべてが勘定科目のカイゼンです。
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2022年8月10日
インボイス制度 この時期に検討しておく課題
インボイス制度は来年の令和5年10月から始まります。
昨秋からインボイス(適格請求書)発行事業者の登録が始まっていますが、皆さまは登録はされましたか?
「ウチはもともと課税事業者だから、届出は出したよ!請求書に登録番号を加えれば今までと変わらないよね」
「個人事業主なので免税事業者だけど、どんな関係があるのかな」
「簡易課税と一般課税、選択に影響があるの」
など質問をいただきます。
そこで今回は登録を前にしたこの時期だからこその課題を考えてみたいと思います。
考えるときは、売り手と買い手、双方の立場で検討しましょう。
買い手(支払う)側の課題
買い手の立場では、一般課税の事業者が最も影響を受けます。
なぜならインボイス等の保存が「仕入税額控除」の要件となっているからなんですね。
課税事業者が納める消費税の計算は、一般課税方式(原則課税、本則課税ともいいます)では、ザックリといえば以下となります。
納める税金 = 売上で預かった税金 - 経費で支払った税金
ここで経費で支払った税金を仕入税額控除だとお考え下さい。
インボイス制度では、支払った経費の相手がインボイス事業者でない場合、仕入税額控除に計算上は含めませんとなっているのです。
つまり、同じ取引でもこれまでと違って納める消費税が増えるかもしれないということなのです。
これは大変ですね。
インボイス発行事業者以外からの課税仕入は原則仕入税額控除できなくなリます。
大きな影響が出る制度ですので、経過期間として措置があり一定割合の税額を控除できますが、
とはいえ消費税の納税額は増えることになり、損益に影響がでます。
買い手として経営者の皆様にしてほしいのはふたつです。
- 課税仕入れの取引先が免税事業者、課税事業者に関わらずインボイス発行事業者の登録予定があるか事前に確認
- 免税事業者などインボイス発行事業者以外との取引を見直し
見直しに当たっては「優越的地位の濫用」に該当する行為を行わないよう注意が必要です。
この点については公正取引委員会から「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」が出ていますのでお目通しくださいね。
また簡易課税を選択している事業者は、売上税額にみなし仕入率を掛けて仕入税額控除を計算します。
したがってインボイス制度での「仕入税額控除」の変更の影響は出ませんね。
いまは一般課税だけれど、簡易課税の選択が可能なら、一般課税から簡易課税への変更も検討しても良いかもしれません。
逆に近い将来、簡易課税から一般課税に移行する可能性がある場合は、一般課税方式に準じた検討しておきましょう。
売り手(もらう)側の課題
売り手の立場では、
一番の課題はインボイス発行事業者になるかどうか
です。
課税事業者がインボイス発行事業者になる場合、
請求書や領収書、レシートなどをすべてインボイス仕様にしなくてはなりません。
免税事業者は商いの小さな事業者さんが多いこともあり、そのための準備を自分ですべて行うのは大変です。
免税事業者の方がインボイス事業者になる、すなわち課税事業者になることから始まるため、対応すべき課題はより多くなります。
専門家のアドバイスが必要なところです。
いま免税事業者さんが困惑しているのは、売り先さんの状況次第でインボイス事業者をいやおうなしに選択しなければならない点です。
主な販売先が事業者かつ、一般課税の事業者であれば、仕入先となる免税事業者との取引を見直す可能性があります。
すでに取引があるというなら今後も継続的に取引できるようにするために、インボイス発行事業者として登録するかどうか検討しましょう。
検討にあたっては、取引先の対応方針を知るためにも早めにコミュニケーションを取ることをお勧めします。
インボイス制度が始まると、いままでは消費税分をオンした請求書が使えなくなります。取引金額の見直しも必要になって来るでしょう。
検討してインボイス届を出して課税事業者になると決めたら、簡易課税を選択するかも検討してください。
簡易課税は別に届出も必要になってきます。
これを出さないと一般課税として取り扱われ、場合によっては不利益を被るリスクがあるのでもれなく検討していきましょうね。
小売業で売り先が消費者のみの場合は、買手は仕入税額控除の必要はありません。
したがって、インボイス発行事業者になる必要はありません。
ただし、事業者も一部販売先になっている場合や、将来事業者への販売を考えている場合は、インボイス発行事業者として登録するかどうか検討しましょう。
インボイス発行事業者として登録を受けると、新たに消費税計算・納税に係る事務負担およびコスト負担が発生します。
自社の経営状況や将来の経営計画もトータルで熟慮する必要があります。
できれば専門家である税理士に相談して判断することをお勧めします。
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2021年9月10日
インボイス(適格請求書)事業者の届出が始まります
インボイス(適格請求書)発行事業者の登録が10月1日から始まります。
いわばインボイス制度の第2ステージに入ったといえるでしょう。
経営者の皆様もしっかり理解してご準備願いますね!
インボイス制度とは
インボイス(適格請求書)とは、消費税法の規定に従って正式に発行された請求書や領収書のことをいいます。
そう、この制度は消費税と大いにかかわっている制度なんです。
消費税をちゃんと計算して納められるように、請求書や領収書(これらを証憑と言います)に記載することをしっかり決めました
ということです。
実はインボイス制度は2年前から、軽減税率が始まったときにすでにスタートしています。
これまで経過措置が続いていた第1ステージから、徐々に準備を進めていく段階に入ってきました。
本格的にインボイス制度に切り替わるのが、2年後、令和5年(2023年)10月1日です。
インボイス発行事業者は課税事業者に限定
インボイスを発行できるのは、課税事業者のみとなります。
課税事業者とは、消費税を納付する義務がある法人、個人事業主のことをいいます。
現在消費税を申告納税している課税事業者の皆様は、安心のため登録を速やかにしていただくのがいいでしょう。
登録は紙ではなくe-Taxにより行うことをお勧めします。
紙より早く登録番号がもらえますし、顧問税理士にも登録が自動的に通知され、情報共有や管理がスムーズになるからです。
経理する方は、請求書など、インボイス記載事項に合うように様式を変えたり、
会計ソフトの消費税の設定を変更したりする作業が必要になってきます。
取引先がインボイスを発行できないと消費税が増税となる
ただ問題があります。
消費税の原則的な計算方法によれば、売上にかかる消費税から仕入や経費にかかる消費税を差し引いて納税額とします。
このとき、経費として支払った先が免税事業者ですと、
インボイス発行事業者(免税事業者)からの仕入や経費は仕入税額控除(マイナス)にならないため、
結果、支払う消費税が多くなってしまうのです(令和8年、11年まで経過措置あり)。
したがって、支払先がインボイス発行事業者であることを事前に確認しておかねばなりません。
駐車場を借りている、
街の小さな商店で買い物をした、
ネットで個人から安く買い受けた、
講師の方に報酬を支払った、
などのケースだと相手がインボイス発行事業者ではない可能性もあります。
免税事業者は登録すべきか検討しましょう
免税事業者は判断に迷うところです。
実務上は売上げた先のお客様が事業主の場合、その取引先が仕入税額控除をできないため、
取引中止のリスクがあります。
登録するかどうかは、登録期限まで取引先の動向を注視しつつ、決めていただくことをお勧めします。
具体的にはどうしたらいいんだろう
免税事業者だけど登録はした方がいいのかな
そんな疑問があったなら信頼のおける税理士にお尋ねしてみてくださいね。
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2021年7月16日
カードでたまったポイントで買い物したら
コロナ禍で新しい生活様式が徐々に進んでいるかと思います。
その中で買い物へ行かず、配達やネットショッピングで済ませることも多いでしょう。
ネットでカードを使ってショッピングするのが不安で、引き渡し時に現金払いを選んでいたのが、今は昔ですね(笑い)。
クレジットカードで買いものをすると様々な特典が付きます。
今回はその得点の一つ、ポイント還元についてです。
ポイントをもらった時、使った時の会計処理は
事業をしている方のケースでお話しします。
会社で作ったカード、事業専用で作ったカードで、様々な買い物をした場合ポイント還元がされます。
その時の会計処理ですが、もらった時とポイント還元を使った時に分けて考えます。
ポイント還元をもらった時。
ここでは会計処理はありません。そのままにしておきます。
ポイントを使った時。
会計処理が必要になります。
11,000円(税込み)の消耗品を買って、5%分、550円分のポイントを使ったとしましょう。
考え方はふたつあり、ポイントを「収入」としてとらえるか、
「値引き」としてとらえるかに分かれます。
前者が原則的、後者が例外的となります。
①ポイントを収入とする場合
消耗品11,000円(税込み)を購入し、550円分のポイントは雑収入として処理します。
仕訳では
消耗品11,000(消費税課税)/現金預金10,450 雑収入550(消費税仕入対価の返還)
となります。
「雑収入」については、消費税法上、「仕入の対価の返還等」に該当します。
つまり、消費税の計算では課税仕入のマイナスとして取り扱われます。
②ポイントを値引きとする場合
消耗品10,450円(税込み)を購入したとして処理ます。
仕訳では
消耗品10,450(消費税課税)/現金預金10,450
となります。
税務では
「ポイント支払(キャッシュレス還元)」なのか
「ポイント値引き」かで取り扱いが異なります。
つまり、税込み11,000円からマイナスするのか、
原価である税抜き10,000円からマイナスするのか、
区別しているのです。
ポイント支払(キャッシュレス還元)であれば、ポイントは収入として取り扱い、
ポイント値引きでれば、値引きとして取り扱います。
消費税計算に影響があるため、ここは要注意です。必ずレシートや証ひょうで確認しましょう。
ややこしいですね。
(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0019011-044_02.pdf
ポイントがたまったからタダで買える?
もし買い物が10,000円で、ポイント10,000円分を使ったら、お金を支払うことはないです。
その意味では「タダ」ですね!
とはいえ、会計の処理は原則的には雑収入で取り扱うため、経理処理は必要です。
一方で、
例外的処理も認められているため、そちらを採用すれば記帳は必要がないことになりますが、
それが認められるには、同じ会計処理を継続して行う必要があります。
記帳されないからといって、私用のものを買ってはいけません。
ポイントは会社のものですから「業務上の横領」となります。
これぐらいならいいだろう、はダメですよ。
もちろん役員であっても同じです。
経営者の皆さんはポイント制度の利用については、コンプライアンスをしっかりとしてくださいね。
面倒くさい処理ですし、コンプライアンスの問題もはらんでいます。
専門家である税理士に確認しながら、適切な会計処理をしていきましょうね。
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2020年8月12日
伝票処理を思い切って、捨ててしまおう
コロナ禍で在宅勤務、リモートワークが、一般化しつつあります。
会計ソフトも日進月歩、ここ3年でクラウド会計が、ぐっと広まってきた感があります。
経理の仕事は、毎日かならず会社に出てこなくても、できるようになっていると思います。
例えば、銀行での振込みは、インターネットバンキングでPCで入力しておけば、
わざわざ銀行に行って並ぶこともありません。
3密を避けるためにも有効ですね。
伝票会計とは
四半世紀前、Windows95が出て、中小・零細企業でもPCが日常的に使われるようになりました。
それまでの会計・経理といえば、事業主様や会社経理部が、手書きで出納簿を作り、伝票を作成し、
それらに基づいて、会計事務所が会計ソフトに入力、決算書を作っていました(会計ソフトがとても高い時代でした)。
伝票会計とは、伝票を使って経理処理を行い、決算書を作る会計のことです。
主な伝票として、入金、出金、売上、仕入、振替の5つの伝票があります。
事業取引は、次の流れで処理されます。
- 取引の発生
- 取引の記録(伝票処理)
- 伝票処理を整理・分類
- 整理・分類したものを集計
- 集計された取引から決算書を作成
伝票処理は、2の「取引の記録」で、
- 領収書
- レシート
- 契約書
- 注文書
- 請求書
のような、取引が起こった証拠となる書類(証憑(ひょう)と言います)をもとに、伝票を作ります。
伝票とは、「事業で発生した取引を記録するための紙」ですので、これをもれなく記録することによって
お金の流れを正確に把握できるようになるのです。
経理の目的ってナニ??
さて、そもそも経理の目的とは何でしょう。
正しく、もれなく、正確に、取引を記録し、
お金の出納を完璧に見える化する。
それは正しいです。
最終的に、正しい決算書を作ること、これが目的となります。
では、そのために伝票会計が必要でしょうか。
いまは会計ソフトが伝票処理をしてくれますよ
社歴の長い会社や、ベテランの経理社員さんが何十年もお勤めであると、
会計ソフトが一般化した今でも、伝票処理をしているところがあります。
従前から、ずっとこの形でやって来たので、変わることには勇気がいるかと思います。
しかし、これからの時代、経理の仕事は合理化して、
機械にできることは任せ、経理のチェックと、資金管理や予算管理といった、
未来へのマネジメントへシフトしていきたいものです。
思い切って伝票処理をやめてしまいましょう!
伝票を手書きで書いてから、PCに入力するのは二度手間と言えます。
(この二度手間のお陰でチェックができる、という方もいらっしゃいますが)
法人税施行規則54条には、
(取引に関する帳簿及び記載事項)
青色申告法人は、すべての取引を借方および貸方に仕訳する帳簿(仕訳帳のことです)、
全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(総勘定元帳のことです)、
その他必要な帳簿を備え、別表20に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならない。
とあり、原則として、仕訳帳と総勘定元帳さえ作成すればよく、伝票は求められていません!
データはコンピューターの中に保存さえしておけばよく、
期中に打ち出す必要もなければ、
科目ごとインデックスなどつけて、きれいに製本することも必要ないです。
伝票処理はPCへ入力するための準備作業ですから、
これら準備作業を省略して、そのままパソコンへ直接入力していけばよいのです。
伝票処理は、会計ソフトがしてくれます。
勘定科目ごとのゴム印も必要ありません。
これからの経理の仕事は
とはいえ、ミスが出てもいけません。
しかし最近の会計ソフトはよくできています。
会社の取引の多くは、お金の出納に関わるものであり、
取引先も固定化しています。
したがって、仕訳パターンを登録し(今は学習機能がついています)、
経理の方は、それを画面でチェックするのが仕事になります。
マクロで見て、数字の意味をとらえる力が必要になります。
クラウド会計では、税理士事務所とオンラインでつながっていますから、
双方で同じものを見て、その場で直すことも可能です。
ダブルチェックですね。
紙やFAXでのやり取りも必要ありません。
また、経理処理のパターンが、会計ソフト内にあるということは、
経理の属人化を解消し、引継ぎをラクにします。
とはいえ、経理のパターン化、経理フローは、事業や会社ごとで様々です。
自社にあった会計ソフトの活用方法もあると思います。
ここは信頼のおける税理士に相談して、丁寧に作り上げておくといいですね。
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2019年12月10日
消費税率アップ、その後の記帳は大変なことに!
消費税率アップ後の経理は大変
10月に消費税率が10%に上がりました。
私たち税理士事務所だけでなく、経理の現場で頑張っている方々から、
「もぉ、面倒くさい。大変だ~」
とお嘆きの声をよく聞いております。
10%に上がったけでなく、同時に軽減税率も始まったので、8%の取引も発生しているのですね。
消費税の計算をするには、これらの取引をひとつずつ、丁寧に、もれなく、正しく記録していかねばなりません。
それはもう、大変な作業となります。
これだけでも経理する方にとって大変なのですが、
税率8%の取引については、旧8%と新8%に区分して、経理することになっています。
ご存知でしたか?
なぜ、そんなことになっているのかを、消費税の内訳から説明しますね。
実は、消費税は、国と地方に納める税金なのです。
旧8%の場合は、国に6.3%、地方に1.7%を納めることになっていました。
併せて8%です。
新8%の場合は、国に6.24%、地方に1.76%を納めることになっているのです。
ええ~!?同じ税率でも中身が違うなんて!
なんて、ややこしや~。
ここでAIのお力を拝借
ちまたではAIが発達すると、なくなる職業の上位に入る税理士業ですが(苦笑)、
ここは素直にAIを技術に頼ってしまいましょう。
AIの良いところは、
正確、もれなし、計算間違いなし!
私どもの事務所で使っているもので、おススメなのはSTREAMED。
こちらは記帳自動化サービスのソフトなのですが、
サランラップくらいの大きさのスキャナーを使って、領収書や通帳を読み込み、
会計ソフトへ直接取り込む機能を持っています。
面倒な作業だった領収書からの記帳は必要ありません。
記帳の正確性と省コスト化が図れます。
さらに、10%と8%の区分だけでなく、新旧の8%の区分まで、自動で読み取りができてしまうのです。
すごいですね~。
いままではレシート一枚で、一つの仕訳でした。
それが複数の仕訳が必要となってしまったのが、その点もクリアー!
対策にはうってつけに思います。
経理の合理化や、細かな経理処理のことは、
やはり専門家である税理士にお尋ねになるといいでしょう。
AIを使って、面倒な経理からおさらば、働き方改革ですよ!
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2019年2月18日
青色申告の取り消し
さて、確定申告の受付が始まりました。
これから一か月間、私たち税理士は繁忙期です。
税理士が関与している事業主様は青色申告の方が多いです。
青色申告は特典があり、届け出を出して、しっかりお帳面を作れば、かならず節税になります。
一方で取り消されることもあるのです。
期限後申告となった場合
確定申告の期限は3月15日です。この期限に間に合わず、申告したら「期限後申告」となります。
電子申告なら大丈夫ですが、郵便物などは消印基準となるので、夜にポストに入れたのだけど、集荷が翌日だったりすると期限後申告になってしまいます。
昔はエックスパックは信書扱いでなかったため、消印基準の対象とならず、到達基準で基準後申告になった…こともあります。
期限後の申告は加算税などペナルティが課せられるだけでなく、
2事業年度にわたって連続して期限後申告を行った場合、青色申告の承認が取り消されてしまう
ことになります。
うっかりが無いようにしたいものですね。
仮装・隠ぺいがあった場合
仮想隠蔽とは、悪意を持って税金をごまかす、所得を隠すなどの行為です。
国税庁は仮装隠蔽行為の要件について、次のように例示をしています。
- いわゆる二重帳簿を作成していること。
- 帳簿、原始記録、証憑書類などを破棄又は隠匿していること。
- 帳簿書類の改ざん、虚偽記載、相手方との通謀による証憑書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算。
- 帳簿書類の作成又は記録をせず、売上その他の収入の脱漏又は棚卸資産の除外をしていること。
内容を見れば、あきらかに悪いことしていますね~
嘘はいけません。
ペナルティも重く、追徴の税金額の40%の罰金が加算されます。
この仮想隠蔽の金額が大きいと青色申告の取り消しがなされます。
複式簿記の帳簿で作っていない場合
青色申告の要件は複式簿記で計算書類を作ることです。
ですのでこの帳簿を作っていない、税務署から提出・閲覧を求められても応じない、帳簿作成の指導に従わない
と青色申告を取り消されます。
青色を取り消されると、一年間は白色申告となり、様々な特典が受けられません。
これもまたもったいないですね。
正直に、誠実にお帳面をつけ、ごまかさず申告する。
これが大切になります。
「ちゃんとやっている」そう独断で判断せず、専門家に見てもらいましょう。
税理士に相談したり、見てもらうと安心できると思います。
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2018年12月20日
年末調整 還付のタイミング
12月は年末調整の時期です。
年末調整とは
年末調整をひとことでいうと、「サラリーマンの確定申告」
といえばわかりやすいでしょうか。
でも、面倒な申告書を書く必要はありません。
日本では源泉徴収制度を取っているため、給与以外に所得がない場合は
会社や事業主さんが本人に代わって税金計算をすることになっています。
もちろん、他に所得がある、医療費控除を受ける、住宅ローン減税を初めて受ける、そんなときには確定申告をする必要があります。
源泉徴収制度では、毎月「多め」に源泉税を天引きするため、年末調整で正しい税金計算をすると、払いすぎとなっている場合がほとんどです。
多くの会社では、12月のお給料と一緒に還付がなされます。
年の瀬に少しでもお金を余分にもらえると、なんだかお年玉をもらったみたいでおトクなように感じますね。
少し前までは、お給料は振込でも、年末調整の還付金だけは現金でください、なんて従業員さんからリクエストされるところもありました(笑)。
12月のお給料と一緒に還付金を戻す年末調整を、「給与年調」と私たちは呼んでいます。
一方、給料を支払ってしまってから、翌月のお給料と一緒に還付する場合もあります。これを「支給後年調」と呼んでいます。
お給料の締日と支払日を決めるポイント
経営者のみなさんにしっかり決めておいてほしいのが、お給料の締日と支払日です。
お給料の支払うタイミングは、一度決めると変えることはなかなか大変です。
従業員さんからすれば、月末にもらえるはずのお給料が、
会社都合で、翌月10日に変更されてしまったら困りますよね。
そして、お給料が締まっても、すぐ支払いといかないのです。
給与計算もあるし、なにより計算間違いがあってはいけないので、チェックする時間と手間が必要です。
また金融機関には、支払いデータを3営業日前までに渡さないといけません。
土日だけでなく祝日など挟むと4,5日必要な場合もあります。
ですから、締日と支払日は通常、5日以上は開ける方がよいでしょう。
年末調整も同様に考えます。
12月は給与計算に加えて、年末調整計算するわけですのでいつもより手間がかかります。
特に大変なのが、20日締めの25日払いの会社です。
12月は23日が天皇誕生日(平成が終わっても祝日として残るのでしょうね)であるため、
年末調整と給与計算が重なって大変です。
20日締めの末日払いも、年末は銀行の営業日が早まると時間的にタイトになりがちです。
これらのケースは
「給与年調」とせず、「支給後年調」にすると、事務の負担が軽減できます。
私たち税理士事務所も助かります(苦笑)。
そして給料の支払いで気を付けておくもう一つのポイントは、
資金繰り
です。
従業員さんへのお給料の支払いが遅れたり、払われないことがあってはなりません。
会社や事業のお金の流れを見て、支給日を決めておきましょう。
お金に余裕のあるタイミングで支給する日を決めるのです。
例えば月末までに売上の入金があるのなら、お給料日は翌月10日に設定します。
健康保険や介護保険などが売上になる業種なら、25日払いは避け、月末払いにします。
事業が発展してくると、売上の金額も大きくなりますが、従業員さんへのお給料の金額も大きくなります。
一度決めたお給料の締め日と支払日を変えるのは大変です。
慎重に決めていきたいものですね。
こうした事務作業の相談も私たち税理士にお尋ねくださいね。
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2018年12月5日
個人事業主さん、年越ししないように師走で行っておきましょう
「先生」も走る師走。
早いものですね~
年の瀬となれば、いろいろしたいことがありますよね。
年賀状の手配、クリスマスの準備、忘年会、
経理の方であれば、年末調整。
大掃除をして、お正月をすっきりと迎えたい。
そして12月は、個人事業主さんにとって決算の月でもあります。
忙しいですね!
売掛金は回収できていますか
さて売り上げたお金はちゃんと得意先様から回収されていますか?
せっかく売り上げたというのに、お金になっていないのであれば、元も子もありません。
会計の基準では、発生基準といって売上は入金したときではなく、
「モノ」や「サービス」の引き渡しが完了して、お代の請求をしたときに、
売上として経理することになっています。
税金計算上は利益に税金がかかるので、
いざ税金を支払おうとするときに入金がまだされていないと、
「お金が足りない」
と困ります。
得意先からの売掛金の回収が遅れているとき、
また回収ができないような状態になっているときは注意が必要ですね。
貸倒損失として経費にするには
もう回収できそうにない、
利益として税金がかかるくらいなら、貸倒損失として経費に落としてしまおう、
それもありだと思います。仕方ありませんね。
ただ税法では貸倒損失として経費になるのは要件が定められています。
① 債権者集会や裁判所などで返済額が決定し、それ以外が切り捨てられることがはっきりした場合
② あきらめて債務免除の通知を送った場合
③ 一定期間取引停止があって、そのご弁済がない場合(ただし要件あり)
この3つです。
①のように、相手が倒産など法的な手続きを取って、通知が来ればいいのですが、
行方知らずや、手続きが遅れていてなかなか進まない、そんなこともあります。
決算月はその判断する時期でもあります。
お金になりそうにない、そう判断したら思い切って債務免除の通知を送ってしまいましょう。
債務免除の通知を「内容証明郵便」の方法で相手へ送ります。
受け取ったかどうかに関係なく、②の要件を満たし、貸倒損失として全額が経費と認められます。
一年の最後にすっきりとして、
新しい年を迎えましょう。
悔しいけど、新たな気持ちで商いしていくために必要なことだと思います。
イチロー選手も三振したとき、こういって切り替えているそうです。
「NEXT!」
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