2023年10月14日
簿記のルーツ
今回は簿記のルーツについて紹介いたします。
簿記とは帳簿をつけること。
今でこそ会計ソフトを利用していますが、ひと昔前、21世紀のはじめでも帳簿はなお手書きのままでした。
ここで質問です。
簿記はいつ、どこで誕生したのでしょうか。
アメリカ?イギリス?
いいえ。答えはイタリアです。
イタリア商人と東方貿易
時は15世紀、イタリア商人が得意としていたのは東方貿易です。
香辛料(シナモン、胡椒、ナツメグなど)、ワイン、茶、陶器、織物といったあこがれの品は中国やインドから陸路と海路を通じてヨーロッパの玄関口であるイタリアに運ばれてきました。
特に儲けの多かったのは香辛料です。
高価なうえにかさばらないため商人たちにとっては大変ありがたい商品でした。
冷蔵庫がなかった当時、肉など痛みの速い食品を保存させ、あるいは臭いを消して香り付けするため、香辛料はなくてはならないものでした。
また香辛料は「薬」の役割も期待されており、ヨーロッパの人々には絶大な人気でした。
それを独占したのがイタリア商人だったのです。
記憶から記録へ
旅する商人にとって「資金繰り」は大変です。
取引が多くなれば精算も大変です。
記憶では間違いが起きるというもの。
そこで取引を記録することが求められるようになりました。
帳簿をつけるための技術、簿記の技術がここに誕生したのです。
意外かもしれませんが、イタリア人が今の会計の基礎を作ったのです。
記録するには紙が必要
簿記の誕生にはもうひとつ大きな変化が影響しています。
それはファッションの変化です。
もともとイタリアでは繊維産業が盛んでした。現在でも高級ブランドはイタリアですね。
なかでも毛織物が早い段階で作られていましたが、東方より綿衣料がもたらされると木綿産業は一気に台頭します。
当時は宝石職人が珊瑚を加工して作ったボタンと綿衣料を合わせることが大流行しました。
この木綿産業の発展で思わぬ産業が発展しました。
それが「紙」の生産増加です。
紙は古くはアラビア時代にヨーロッパへ伝えられましたが、パピルスというように植物から作られていました。
木綿産業の工程から出たぼろ布を細かく裂き、腐敗桶で作るパルプ、いわば「廃棄物」のリサイクル品が紙として大量に出回ったのです。
貴重で高価だった紙が安価に市場に出回り、「記録紙」として簿記の発展を加速させたのです。
歴史を見ると、面倒で苦手意識を持ってしまう簿記も、
なんだか楽しくなりますね。
こうして生まれた簿記があるからこそ、ビジネスが発展し、
私たち会計人の存在意義があるというものです。
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