2018年4月20日
法人と個人事業の選択~その1~
個人事業をしている方から、よくいただく質問として
法人化をするとしたら、いつがいいですか
があります。
法人の税率は
この質問の背景にあるのが、所得税と法人税の税率の違いがあります。
税率は毎年の税制改正でよく変わるので、注意が必要ですが
この記事を書いている30年4月現在の税率を見てみます。
法人税の税率は一定で、23.2%です。
しかし中小企業には税金をまけてくれます。
ここにも「弱者保護」の思想が現れていますね。
中小企業の場合、
所得(もうけ)が800万円までは19%です。
しかも時限立法で向こう2年はさらにおまけしてくれてまして15%となっています。
いや~助かります!
とはいえ、支払う税金は法人税だけでなく、住民税である県税や市税、加えて事業税もあります。
それらを足すとどれくらいになるのでしょうか。
これを実効税率といいます。
新聞などでは大企業の実効税率が報道されます。
今ですとおよそ35%くらいですね。
諸外国に比べて…というときは大概この数字をさします。
それに対して、私たち税理士が関わる中小企業の実効税率は25%くらいです。
1,200万円利益が出たら300万円を納める、そう理解しておいて下さいね。
個人事業の税率は
では個人事業の税率はどうなっているのでしょう。
所得税では、累進課税といって所得(もうけ)が増えていくと税率が高くなります。
つまり所得が低い人は税金は安くするという仕組みです。
これも「弱者保護」の思想が効いていますね。
では税率はというと
所得が195万円まで 5%
所得が195万円から330万円まで 10%
所得が330万円から695万円まで 20%
所得が695万円から900万円まで 23%
所得が900万円から1,800円まで 30%
所得が1,800万円から4,000万円まで 40%
所得が4,000万円~ 45%
ここで知っておいていただきたいことがふたつあります。
ひとつは、税金がかかるのは「所得」であって「収入」ではありません。
そして、税率はそれぞれの段階でかけて計算するということです。
例えば個人事業での利益が1,200万円の人だとどうなるのでしょう。
ざっくりと考え方だけを説明したいので所得控除などは考慮しません。
「収入」は売上、「所得」は利益、そう考えてください。
利益は1,200万円であれば、これを所得と読み直します。
おお、所得は1,200万だから税率は30%で、
税金は1,200万円×30%=360万円。
おっと、これは早合点です。
税率はそれぞれの段階での税率をかけて計算しますので、所得税はもっと少なくなり、242万円となります。
個人の場合、住民税は一律10%ですので、1,200万円×10%=120万円
あわせて、およそ362万円となるわけです。
では、どれくらい儲けが出ると法人がおトクなの?
法人税で納めるか、所得税で納めるか
どちらがおトクかという視点で見てみましょう。
上記でみたように、
個人事業での利益が1,200万円なら362万円。
これを法人の利益とするなら300万円です。
なんだか法人の方が少なそうな気がしますね。
法人となれば、会社から事業主様は「給与」としてお金をもらうことになります。
すると利益1,200万円をすべてお給料としてもらうとすれば、
給与所得には給与所得控除といって、給与の経費相当分として220万円が非課税となりますから、
(ここが節税のポイント)
1,200-220=980万円が給与所得となります。
所得税は170万円、住民税を加えても270万円となるわけです。
法人にした方がぐっと支払う税金が少なくなりそうです。
実際は、各種の所得控除も考慮して計算するので、正しい税金額は変わります。
少し荒っぽい言い方になりますが、事業の利益が800~900万円を超えて続くようなら、
法人化したほうが納める税金は少なくなりそうです。
税理士さんに一度シミュレーションをお願いするといいでしょう。
しかし!
法人化は納める税額のみで決め手にはなりませぬぞ。
他にもメリット、デメリットがありますから、
法人を作って将来どうしたらいいか、何をしたいのかをしっかり考えてくださいね。
そのあたりは次回へ。
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