2025年3月10日
所得税の累進課税、勘違いしてませんか?
間もなく確定申告期限です。
すでに申告は終わりましたか?それとも追い込み中?
さて
先日こんな質問がありました。
「転職することになり、給料が上がるのは嬉しいのですが、
税率も上がってしまうので、手取りが減っちゃうんでしょうか、、、?」
「え、どういうこと?」
「900万円を超えると累進課税で税率が23%から33%と10%も上がるなら、
900万円ぎりぎり下回るようにした方がいいですかね?」
アレレ~
累進課税について、勘違いがあるようです。
わが国の所得税は累進課税です
累進課税制度は、課税金額が高くなるほど税金が高くなる仕組みです。
だから儲け(所得)が多い人ほど税金が高くなります。
ちなみにわが国で累進課税制度を採用しているのは、所得税、相続税、贈与税の3つとなっています。
ところで、
累進課税には、単純累進課税と超過累進課税のふたつがあります。
単純累進課税は、課税金額が一定額を超えると、課税金額全体に高い税率をかけます。
一方で超過累進課税では、課税金額が一定額を超えると、超えた部分のみに高い税率がかかります。
単純と超過での税額の違い
さっきの質問は「単純累進課税」だと勘違いしたのですね。
日本で使われているのは超過累進課税です。
税率は以下の通りに定められています。
- 195万円以下 5%
- 195万~330万円以下 10%
- 330万~695万以下 20%
- 695万~900万以下 23%
- 900万~1,800万以下 33%
- 1,800万~4,000万以下 40%
- 4,000万超 45%
例えば、給与所得が910万円だったとしましょう。
195万までは5%ですので、税額は9万7500円
195万~330万までは10%ですので、税額は13万5千円
330万~695万までは20%ですので、税額は73万円
695万~900万までは23%ですので、税額は47万1500円
900万~910万までは33%ですので、税額は3万3千円
これらを合計します。
146万7千円が支払う税金となります。
もしこれが単純推進課税だと
910万×33%=300万3千円
倍以上ですね!
緩やかに税金が増えるように設計されているんですね。
ほっとしました。
巷では、お金持ちの方が「日本は税金が高くて半分税金に持っていかれる」
と聞きます。
たしかに住民税が10%ですので(住民税は一定率です)
最高税率は45+10=55%となります。
ウン億円も稼ぐ人は、そう感じるかもしれませんね(汗)。
税金がかかるのは年収額ではありません
「あなたの年収はいくらですか?」
サラリーマンなら年収額が気になる所ですが、
税金計算では収入額に税金がかかるわけではありません。
お給料の経費にあたる給与所得控除を引いたあとの、
利益に相当する給与所得、
それから個人的な事情を加味した所得控除を引いた後の
課税標準に税率をかけて計算します。
だから年収が900万だとしても、給与所得は705万円、
所得控除が仮に150万あれば、課税標準は555万円になります。
早とちりしないでくださいね。
サラリーマンだと通帳の手取り額を気にしますが、
税金の計算の理解が深まれば
「なるほど、そういうことか」と思うかもしれません。
【名古屋発!税理士アニキの感動!笑売】
は毎月10 日に更新します。
お楽しみに!