2017年7月2日
オーナーさんからの借入金、どうすればよいのでしょう
会社経営をしているとよい時も悪い時もあります。
資金が足りないときは、
経営者は役員報酬を未払いにしたり、
逆に会社へお金を貸し付けたりします。
小さい会社では、銀行が経営者の個人財産をも与信としてとらえていますので、
経営者の会社への貸付金は一つの方法として考えられています。
とはいえ、返してもらわないと事業している意味もありません。
中小零細会社では、
多くの会社がオーナーさんからの借り入れが多大となり、
そのまま残っているということもしばしば。
親から子へ事業が移っているけど、親が存命なので何も手を付けていない、なんてことも。
親からすれば、余力ができてから返してくれればいいから、そんな親心があるのかもしれません。
しかし、いざ相続となると大変です。
会社へ貸したお金は「債権」として相続の財産としてみなされ、
相続税がかかってきてしまうのです。
相続をする息子からしては会社から返してもらうだけになりますが、
その権利を取得するのに税金を払うなんて納得いきませんよね。
だからオーナーさんからの借り入れは、税務上の対策をしておく必要があります。
オーナーさんからの借り入れ対策は二つ方法が考えられます。
「もうそのお金は返してもらわなくていいよ」と諦めてもらって債権放棄をする。
または
負債ではなく出資したものとして資本金に振り替える。
今回取り上げるのは債権放棄です。
オーナーさん、それも先代の親から会社へ貸し付けている場合は、
相続財産になるくらいなら、あきらめていいよ、という方も結構いらっしゃいます。
そんな時は債権放棄をしていただくのが有効です。
債権放棄をすると、会社側では返すべきお金を返さなくてもよくなりますので、
トクをしたことになります。
これは「債務免除益」といって税務上は所得としてみなされ課税対象にされます。
とはいえ、オーナーさんから借り入れているような会社は大きく赤字である場合がほとんどです。
つまり、青色申告者であるなら繰越欠損金が残っているはずです。
その繰越欠損金と相殺することで、債務免除益の税金は納める必要がなくなります。
会社では法人税、個人では相続税が助かるというわけです。
ただ注意するところもあります。
会社の資本金が1億円を超えている、
かつ
特定同族会社(半分以上の株をオーナさんが持っているような会社)であると、
留保金課税という別の税金がかかってくる可能性もあります。
また、あまり安易に行うと税務署とトラブルになる可能性も否定できません。
再建計画など会社で検討しておくことをお勧めします。
役員の貸付金がたくさんあって、
しかも先代からの借り入れで、
赤字の会社で欠損金もそこそこあるのなら
考えてみるタイミングですよ。
もちろん、専門家である税理士に相談して慎重に行ってくださいね。
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