2025年9月11日
予定納税で知っておきたいこと
昨年の5月から予定納税については消費税以外の税目は、原則納付書が送られてこなくなりました。
税務署はペーパーレスを目指し、電子申告、電子納税を進めておりますので、その一環です。
とはいえ実務では、うっかりが潜んでいますので注意が必要です。
予定納税とは
予定納税とは、税金を分割して前払いする制度です。
予定納税が行われる目的はふたつです。
ひとつは、納税者の負担を平準化するためで、
もうひとつは、国(税務当局)の税収を安定させるためです。
税金は本来、1年分を翌年の確定申告時にまとめて払う仕組みです。
しかし、前年に多額の所得がある人は、翌年3月に大きな金額を一括で納めることになり、
資金繰りの負担が重くなります。
したがって、予定納税によって前払いを分割して行うことで、支払を平準化できるようにしています。
税金の金額が大きいと資金繰りは大変ですので、これはこれでありがたいですね。
予定納税の対象になるのは
個人の所得税なら予定納税基準額が15万円を超えた場合です。
予定納税基準額とは、
前年分の 確定申告で納めた所得税額(申告納税額) − 源泉徴収税額 − 控除対象配当控除額
給与だけで年末調整が済む人は対象外となります。
サラリーマンの方はご安心ください。
法人税では、前期(前年)の法人税額が 20万円を超える法人が対象になります。
消費税は金額によって変わります。
前年(基準期間)の消費税額が 48万円(国税分)を超える事業者さんが対象です。
予定納税額は、前年の消費税額に応じて回数が変わりますので、ご自身の納税額をご確認下さいね。
- 前年消費税額が 48万円超~400万円以下 → 年3回(各期に1/3ずつ)
- 前年消費税額が 400万円超~4,800万円以下 → 年3回(各期に1/3ずつ)
- 前年消費税額が 4,800万円超 → 年11回(月ごとに前払い)
まとめますとこうなります。
所得税(個人) → 前年税額が15万円以上なら、7月・11月に前払い
法人税 → 前年税額が20万円超なら、事業年度の半期経過後に中間納付
消費税 → 前年税額が48万円超なら、金額に応じて年3回~11回に分けて納付
納付書が送られてこないことによる困りごと
定納税や法人税・消費税の中間納付も、紙の納付書がなければ窓口納付ができません。
「送られてくるもの」と思っていると、期限直前に慌てることになります。
所得税の予定納税や消費税の中間納付額は「税務署からのお知らせ」に書いてあります。
納付書が来なくなると、自分で e-Tax やメッセージボックスを確認しないと金額がわからず、納め忘れのリスクがあります。
納付書が届けば「納めるタイミングの通知」になりますが、
それがないとスケジュール管理を自分で徹底する必要があります。
うっかりが生じちゃうのがこのとき。
納付書が来ないことで一番困るのは「金額と期限がわからず、納め忘れること」です。
つまり、今後は「自分で確認しに行く姿勢」が必要になってきています。
予定納税で還付になるケース
予定納税は、税金を前払いする制度のため、必ずしも納税額が前年度と同じとなるわけではありません。
本来予定していた納税額よりも確定した税額が少なくなるケースとして、以下の理由が考えられます
- 所得が前年より低かった
- 経費が前年より多かった
- 税額控除が適用された
こんな場合なら申告すればお金は戻ってきます。
減額申請という手も
所得税の場合、予定納税は前年の税額を基準に計算されます。
ただその年の所得が明らかに少なくなりそうな場合には、
申請して予定納税額を減らしたり免除してもらえます。
- 廃業や休業、失業をした
- 業況不振などのため、本年分の所得が前年分の所得よりも明らかに少なくなる
- 災害や盗難、横領により事業用資産や山林に損害を受けた
- 本年分の所得控除額や税額控除額が前年分と比較して増加する
しかし、提出期限があるのでご注意くださいね。
予定納税において減額を希望する場合は、
所得税の予定納税の第一期締め切り前の7月15日、
第二期の締め切り前の11月15日までに、それぞれ減額申請をしてください。
締め切りまでに手続きできるように、
6月末、10月末までに今期分の税額を計算しておき、
必要に応じて減額申請の手続きをしましょう。
(第1期分の減額申請をして認められれば、第2期分も自動的に減額されます)
おやっと思ったら、信頼のおける税理士に相談してくださいね。
きっと親身になって相談に乗ってくれると思いますよ。
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