2018年11月11日
株の売買で儲けたときの税金は、なぜお金持ち優遇だと言われるの?
年明けの国会に向け、税制の議論が始まります。
兼ねてから株式の売買で生じた利益に対する税金は、欧米のそれに比べて低く抑えられているとの指摘もあり、
見直しや議論が必要とされていましたが、今年の税制改革から早々に【議論しない】と外されました。
税金は「儲け」にかかります
まず税金の計算についておさらいしましょう。
税金は「儲ける」とかかります。
「儲ける」とはすなわち「トク」をすると言ってもいいでしょう。
お給料をもらって「トク」をする
生命保険が満期になってお金が入ってきて「トク」をする
お商売で儲けて「トク」をする
土地や建物を売って「トク」をする
株を売って「トク」をする
そんなとき、税金を納めます。
株式の売買益の課税はお金持ち優遇である?
では、なぜ株を売った「儲け」が、今の税金計算だとお金持ち優遇だと言われちゃうのか?
それは株式をはじめ金融資産に起因する所得は、分離課税で税金計算されるからなのです。
所得税は、二つの税金計算の体系となっています。
ひとつは総合課税で、もうひとつが分離課税です。
通常の税金計算は総合課税で行われますが、
株式の譲渡益や、不動産の譲渡益など別に定めるものは、
総合課税と分離して計算を行う、
これが分離課税です。
総合課税の税率は累進課税といって、所得が増えるほど高くなっていきます。
一番安い税率で5%、一番高くなると45%(高い!)です。
お金持ちの方は、お金に余裕があるので(これを担税力といいます)、
たくさん払ってね、ということなのです。
しかし、分離課税での税率は、一律20%。
どんなに儲けが出ても税率は変わりません。
お金持ちの方には、総合課税ではたくさん払ってもらっているから、
分離課税では抑えめにしますので、チャラにしてね、そんなところでしょうか。
税金ではよくこういうことがなされます。
増税するばかりだと納税者に不満がたまるので、
いくらかおまけをして、調整しましょうという魂胆(笑)です。
課税庁は、「公平」な課税を実現するため、なんて説明します。
うまいこと言いますなぁ。
しかし、よく考えてください。
株や不動産をたくさん持てる人は誰でしょう?
一生懸命を汗かき、お給料もらう人、事業で頑張っている人は総合所得でしっかり課税されます。
一方、「金持ち父さん」のように不労所得で儲ける人は、分離課税なのです。
だから不動産や金融商品をたくさん持っている人は、
持てば持つほど、低い税率の恩恵を得られるのです。
給料で1億円もらったら、4,500万円が税金ですが、
株で1億円儲けたら、2,000万円の税金で済むということです。
あくせく働く必要がないから、不動産や株を買いますよね。
いつも税金の使い道にうるさい私ですが、
やはり、課税の公平性を保つというのなら、一般庶民、広く国民の皆さんが
納得
するような税金のかけ方にしてほしいものです。
とはいえ、株を売った人、不動産を売った人
いまは通常の税率に加えて復興税もかかっていますし、
長期短期の保有で税率も変わったりします。
分離課税は様々な特例があって、複雑な計算で間違いやすいので、
信頼のおける税理士さんに訊いて申告してくださいね。
決して払いすぎないよう、また不足しないようご注意ください。
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