2021年5月11日
開業時の支出、それは経費(その①)?
よし!一念発起、サラリーマン人生ではなくて起業しよう。
準備を始めてみたものの、開業前にも、いろいろお金もかかります。
「これって経費になるのかなぁ」
そんな疑問もわいてきます。
開業にかかる費用については、個人事業主として始める場合と、会社を作って始める場合で、取り扱いが少し違います。
そもそも「経費」とは
「これって経費になるよね?」
と何気なく使っているこの「経費」という言葉は、会計上と税務上で分けて考える必要があります。
「経費」は会計上では「費用」、税務上では「損金」として取り扱います。
売上-費用=利益(儲け)
これを税務上で考えると、言葉が変わります。
益金-損金=所得(税務上の儲け)←課税されます
で、何が違うの?
費用になるけど、損金にならない
ものがありますよ。
つまり、会計上は費用だけれど、税務上は損金になりませんので、税金はかかります、ということです。
「え~~~っ!?」そんなアホな。
実務上はこんなことが起こりえますので注意してくださいね。
事業を始めるのですから、皆さん儲けを出したくて行うわけですが、
費用になるのはもちろんのこと、税務上でも損金になるかどうか、必ずチェックしておいてくださいね。
そこで、事業を始めるときにかかった費用のお話です。
開業費を考えるとき、個人で事業を始める場合と、会社を作って事業を始める場合と区別して考えます。
事業を始めるときにかかる費用は「開業費」のほかに「創立費」、「それら以外」に分けられます。
今回は、会社を作って事業を始める場合の「創立費」を取り上げたいと思います。
創立費とは
会社を設立するには、司法書士さんに頼んで、登記を行って初めて事業ができる状態になります。
創立費とは、会社の設立前の支出で、設立のために要した費用をいいます。
つまり箱作りにかかる費用です。
だから、個人事業で始めるときは発生しません。
例えば、次のような費用です。
- 定款の作成のための代行手数料
- 定款の認証手数料
- 印鑑証明書の発行手数料
- 設立登記時の印紙代
- 設立前の事務所賃借費用
- 銀行の口座開設手数料
- 事務用消耗品(名刺、印鑑、封筒作成など)
- 打合せ費用や交通費
創立前の支出は
会社を設立する場合、設立する前の支出はどうなるのでしょう?
法人税基本通達2-6-2にこのように規定されています。
「法人の設立期間中に当該設立中の法人について生じた損益は、
当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することができるものとする。
ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の損益
又は当該法人が個人事業を引き継いで設立されたものである場合における当該事業から生じた損益については、この限りでない」
ホント、税の条文は本当に分かりづらいですね。。。
どういうことかというと、
「設立前なので、主体がないため経費はありえんけど、
最初の年度の損金として特別に認めるよ」
だけど、
「特例だから常識的に考えてね」
それから、
「個人で事業している方が法人成りする場合はダメよ」
と言っているのです。
常識的に考えてとなれば、設立前1~2か月くらい前までなら損金として認められるでしょう。
もちろん、事業との関連性が認められないと経費ではありません。
実際に税務署の調査が入ると、経費である事を証明するすべての証拠が必要となります。
そのため、経費として申請する場合はしっかりと事業に必要な費用だったと正しく証明できる必要があります。
領収書があればよい、ということではあませんから、くれぐれもご注意願います!
開業時は、税務について無知なことも多いでしょう。
インターネットなどで情報を得るだけでなく、
信頼のおける税理士さんに相談してみてくださいね。
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