2021年6月11日
開業時の支出、それは経費(その②)?
前回の記事では、開業時の支出について、
そもそも「経費」とは、会計上の「費用」と税務上の「損金」に分けて考える必要がありますよ、
とお伝えしました。
そして会社を作って事業を始める場合の「創立費」を取り上げました。
今期は「開業費」を取り上げてまいります。
開業費は、個人で事業を始める場合と、会社を作って事業を始める場合とで取り扱いが変わります。
開業費とは
個人で事業を始める場合は、
開業費は「開業するための費用」でありますが、
「開業前の支出」で「事業開始するために必要な支出」となります。
例えば、次のような費用です。
- 切手など通信費
- 消耗品や水道光熱費
- 名刺やチラシ
- HP作成費用
- 打ち合わせの費用
- 移動のための交通費
事業開始のため必要だと証明できれば「開業費」となります。
法人と違って、その範囲は緩く、経常的に発生する費用も対象となります。
ただ、開業前といっても、1年も2年も前までさかのぼって経費になるわけではありません。
所得税の申告は暦年基準でもあり、おおむね3~4か月、長くて半年くらいまでなら損金として認められるでしょう。
事業経費として明瞭であり、支出の時期が合理的なら、一年前くらい前まででも損金となる可能性もあります。
一方、会社を設立して事業を始める場合は、
開業費は「設立してから事業を開始するまでに、特別に支出した費用」となります。
会社を設立するには、箱作り、つまり登記をしてから事業がスタートしますので、
登記後に発生する特別な費用が「開業費」となるのです。
開業準備のために特別に支出した費用のうち、
事務所家賃や水道光熱費、社員の給料など毎月一定額発生する費用は、
開業準備のために特別に支出した費用と認められないため、開業費とせず、
経常的に発生する費用として処理します。
そのほかの経費
創立費や開業費に分類されない経費もあります。
例えば、販売するための商品購入なら「仕入」
車や機械などであれば「固定資産」
として経理します。
損金となる時期
創立費や開業費は、会計上では繰延資産として、
発生した年度から5年以内で一定額を費用として経理することとなっています。
これを「償却」といいます。
しかし、税務上は中小企業なら、任意の時期に損金経理すればよいことになっています。
つまり、設立当初の利益があまり見込まれない年度においては費用化せず、
徐々に利益が増えていったタイミングで償却すれば、利益を圧縮でき節税となります。
開業時は知識不足で、処理を誤ってしまい
節税できたのにかなわなかった、なんてことにならないよう
信頼のおける税理士さんに相談してくださいね。
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