2018年10月18日
消費税10%アップの盲点
安倍総理が早々に消費税10%引き上げを明言しました。
と同時に、増税ショックを和らげるための施策も各大臣に指示しました。
クレジットカードなどで決済されると2%の還元をするとか。
以前消費税をアップしたとき、多くのスーパーでは「消費税還元セール」と称して値引き販売しましたが、
政府は税金を還付するなんて、ありえないことを想像させるのはけしからんといって、「還元セール」という売り方を禁止しました。
でも、今回は政府そのものが「還元セール」をするようで、なんとも納得しがたいですね。
軽減税率の導入
今回は少しでも増税ショックを和らげるため、
外食を除く飲食料品と定期購読新聞に限り、税率は8%に据え置かれます。
軽減というと安くなる感じですが、ただ据え置かれただけなんですね。
言葉の印象って大きく変わりますね~。
インボイス制度で何が変わるの?
今回の改正は単に税率がアップするだけではないのです。
今までと違い適格請求書保存方式、通称インボイス制度に変更になります。
どういうことかというと、請求書や領収書に税率ごとに区分して表示しなさいよ、ということです。
「なんだ、そりゃ当たり前じゃん~」
「今まで作っていたのと、あまり変わらないね」
いえ、大きな変化が隠されているのです。
インボイス制度では、こう定められています。
国税庁の登録を受けた者から、
交付を受けた適格請求書等の保存を、
仕入税額控除の要件とする。
ちょっと専門的でピンときませんよね。
そう、実はここに盲点があります。
免税事業者が淘汰されるかも
まず、消費税の計算を理解する必要があります。
消費税を負担するのは、消費者ですが、
国に納税するのは事業者です。
納める消費税の計算はというと、
売り上げたときにもらった消費税(預り消費税)と、
経費として支払った分の消費税(支払い消費税)との差額を計算して納めます。
つまり、1000を売り上げると、その8%の80をもらいます。
経費で600使うと、その8%の48を支払います。
納める税金は差額の
80-48=32
となります。
この経費で支払った消費税のことを、
仕入税額控除
といいます。
経費として引ける分、そう考えてください。
消費税には特例があって、商いの小さい事業主には税金の納付をしなくていいとされています。
これが免税事業者です。
基準年度の売上が1000万円を下回れば、税金を納めなくていいというもの。
とはいえ免税事業者でも消費税はオンして商売することになっていますからね。
(たとえ消費税をオンしていないつもりでも、計算上は税込とみられます)
益税は出てしまいますが、税の基本思想である「弱者保護」にもなると思うので、私は良いのかなと思います。
しかし、インボイス制度では、免税事業者は適格請求書発行業者と認められないため、
免税事業者から仕入れたものや支払ったサービスの消費税は、
仕入税額控除として認めない
としたのです。
つまり、上の計算の例でいえば、支払った先が免税事業者だとすると
計算上マイナスできる消費税はゼロとなり、納税額は32ではなく、80となってしまうのです。
そうなれば、課税事業者から(お金を支払う側)見れば、
相手は大きなところと取引しよう
もしくは
相手に課税事業者になってもらう
と考えるかもしれません。
免税事業者からすれば、取引してもらいたいがため、わざわざ課税事業者になる、なんてこともあり得ます。
これは「弱者保護」に反する、とも言えるのではないでしょうか。
一応、経過措置が定められていて、
完全なインボイス方式への移行は4年後の平成35年10月からとされています。
仕入税額控除については、平成35年9月までは、現行と同じ100%の控除、
平成35年から3年間は80%、平成38年から3年間は50%と段階的に引き下がっていきます。
税率が上がることにばかり目が行きがちですが、
制度が変わる時には、こうしたところにも配慮が必要だと思います。
こうした税金の集め方が公平なのかどうか
厳しくチェックしていきたいものです。
制度も複雑で、まだまだいろいろと実務上の取り扱いが明らかになると思います。
不安な方は信頼のおける税理士さんに聞いてみてくださいね。
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