2019年10月3日
みなさん、消費税の損得っていったいナニ?
10月1日、消費税率が8%から10%に上がりました。
前日の夜にニュースを見ていると、
ビールを大量に買いだめする焼肉店、
設備投資ができず、店じまいする個人商店の報道がされていました。
消費税の増税の影響があちらこちらで出ています、という趣旨の報道でした。
税理士の視点からすると、少し違和感を感じます。
消費税を負担するのは誰?
そもそも、消費税を負担するのは誰でしょう?
エンドユーザー、いわゆる最終消費者です。
だから、焼き肉店のように
事業をしている人は、税金を負担していない
のです。
え?経費で支払ってますよ。
はい、おっしゃる通りです。
しかし、消費税の計算方法を知れば、その意味が分かります。
モノやサービスを提供したとき、事業主には「売上」が上がります。
その売上額に10%の消費税が課され、事業主が売上と一緒にもらう消費税は「預り金」の性格を持ちます。
一方で、経費を支払えば、その費用に10%消費税が課されます。
消費税は
預り消費税 - 支払い消費税 = 納税する消費税
と計算され、事業主が税金を納めます。
この計算式にあるように、消費税を負担しているのは、あくまでエンドユーザーである消費者となります。
焼き肉店が、あわてて8%の時にビールを買いだめても、結局、納める消費税が増えるだけなのです。
ただ、売上が5000万を下回る事業主なら「簡易課税」方式を選択できるので、
支払う消費税を計算に入れないため、トクをすることはあります。
消費税増税は増え続ける社会保障のため、といいますが
政府、財務省は消費税率を上げる理由として、
増え続ける社会保障費を賄うため
と説明しています。
しかし矛盾する点もあるのです。
消費税率が上がる一方で、下がり続けている税金があります。
それは法人税です。
消費税は平成元年に導入されました。
導入当時、税率は3%で、税収は3.3兆円でした。
それが8%になって、平成30年には17.6兆円、
10%に上がれば22兆円ほどになるでしょう。
平成時代は消費税増税の時代でした。
税率は3%から5%、そして8%、ついには10%まで上がってきたのです。
一方、法人税の税率は、平成元年には40%だったのが、
平成28年には23.4%まで下がりました。
平成元年には19兆円あった税収は、平成30年には12.2兆円となりました。
増え続ける社会保障費を賄うため、というのなら、他の税率も下げるべきではないはず。
荒っぽい言い方になりますが、それはつまり、税金を納めてもらう対象を、法人から個人消費者に移し替えた!ともいえるのです。
もちろん法人税率を下げる理由もいろいろあり、間違いではありません。
人口減少の続くわが国では、税収を確保するために、
所得(儲け)から、消費へ、そして資産へと課税対象が変わっていくことに一理あります。
増税で、私たち国民が注視しなければならないこと、
それは日用品の何が10%で何が8%ではなく、
どんな税金の集め方をすると、国が豊かに、継続していくか、
でしょう。
国民が広く痛みを分かち合う、そういえば美しいですが、
公平性は維持してほしいものです。
間違いないのは、消費税率を上げると、景気はブレーキがかかり、落ち込みます。
その意味では、すべての事業主に大きな影響が出る、損をする、ということになるでしょう。
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