2018年6月4日
法人と個人事業の選択~その4~
前回まで3回にわたって法人のメリットについてお話ししてきました。
今回は法人化のデメリットと個人事業のいいところをお話しします。
法人化のデメリットは、裏を返せば個人事業のメリットでもあります。
法人登記でお金がかかる
まず法人化するのにお金がかかります。
今から14年前、2006年の会社法改正で最低資本金制度が撤廃されました。
昔は株式会社を作るには資本金が1,000万円、有限会社で300万円が必要でした。
起業するのにこれだけのお金を用立てするとなれば大変ですよね。
それが改正で1円からでも起業できるようになったのです。
確かに資本金を用意しなくてもよくなりましたが、会社登記にはやはり30~40万円かかります。
しかし個人事業でしたら、思い立ったが吉日、その日からお商売が始められます。
自由に使えるお金は
プライベートに使えるお金の自由度は個人事業の方に分があります。
利益となったお金は、極端な話、税金と借金さえ返せば自由に使うことができます。
法人でも、普段から個人で計画的に預貯金などしてあれば良いのですが、
子どもが私立大学に入学した等、急なもの入りの時に、法人からお金を引き出すことは難しいです。
公私混同はNGなんですね。
役員報酬は原則前もって定額で決めていますので、そのようなときには余分にお給料ください、とはなりません。
会計や税務が複雑
やはり申告書ひとつにとっても法人税の方が難解です。
租税特別措置も多岐にわたっています。
個人の確定申告なら税理士に頼まずとも、なんとかできるかもしれませんが、
法人となれば専門家に頼まないと難しいです。
そうなれば費用もかかってきますね。
税務調査でも違いが
税務調査では、経験則上、法人の方が厳しいと思います。
法人税は個人の所得税より難解でもあり、
税務処理が難解ということは、その運用でも意見の相違が出やすいと言えます。
また個人事業の場合は、課税は最終的に相続税で補完することができると考えられます。
したがって税務調査の強弱でいえば差が出るかもしれません。
青色申告控除が個人事業にはある
個人事業主特有の制度と言えば、青色申告控除があります。
青色申告をすれば利益のうち65万円を非課税にしてくれます。
個人の方が頑張ってお帳面を付けたご褒美のようなものでしょうか。
この金額をもって税理士費用にと考えている人もいますね。
自分限りの事業なら
会社を大きくして子どもに継がせるなら会社にするのもありですが、
自分の代だけで終わるお商売なら法人にする意味合いも薄れます。
法人は赤字でも支払わなければいけない均等割という税金や、
運営に関して税理士や社会保険労務士等に支払う費用も多くなります。
社会保険料の負担が大きい
社会保険料は従業員と会社の折半で支払います。
役員報酬なら、将来の自分の年金に反映しますが、従業員の分は持ち出し。
額面より10%多く人件費を支払う心づもりでいてください。
とはいえ社会保険完備は採用には有利ですから、その点はメリットにもなるかと思います。
4回にわたって個人事業と法人の選択についてご紹介してきました。
法人であれ、個人の事業主様であれ、黒字を出して税金は納めてほしいとは思います。
でも、税金を払いすぎるのももったいない。
節税だけでなく、
事業の将来や、目指すところも考えて法人化を検討してみてくださいね。
もし法人化を考えているのなら、信頼のおける税理士さんにぜひ相談してくださいね。
節税以外でも大局的にアドバイスしてくれる人なら、良きパートナーとなってくれると思います。
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