2019年2月1日
青色申告の特典
まもなく確定申告が始まります。
2月16日から3月15日までが申告の時期です。
個人で事業をしている皆さまは決算書の作成に忙しい時期ですね。
もちろん青色申告を選択されていますよね!?
「え?していない」
それはもったいないお話しです。
青色申告の特典
申告の方式は2種類あって青色と白色の申告があります。
青色申告をしようとするなら税務署の予め届け出をしておきます。
昔の申告書はすべてが紙ベースでした。
だから青色申告の申告書は青色だったんですよ!
もちろん用紙が違うだけではありません(笑)
青色申告には特典があります。
主なものは次の4つです。
青色申告控除がある
純損失を3年間繰り越せる
家族への給料を全額経費にできる
30万円未満の償却資産を一時期で必要経費にできる
青色申告控除とは
税金計算では、利益に税率をかけて税金を計算します。
青色申告なら、その利益からさらに65万円(2020年からは電子申告が要件となります。紙申告なら55万円)を引いてから税率をかけるのです。
つまり65万円に対する税金が節税になりますね。
青色申告を選択すると、帳面をしっかり作らなければなりません。
「複式簿記」の方法で決算書を作るのですが、手書きで作るなら簿記2~3級レベルが必要です。
しかし今は安価な経理ソフトがたくさんあります。
お小遣い帳や家計簿を書けることができる人なら、そんなに難しくはありませんよ。
純損失を3年間繰り越せる
もし赤字が出てしまったら、税金計算はどうなるのでしょう。
もちろんその年は税金はかかりません。
しかし青色申告を選択していると、赤字の分を翌期へ繰り越すことができるのです。
例えば100万円赤字が出たとしましょう。
その年は税金がかかりません。
翌年に100万円利益が出たとします。
普通なら100万円に税率をかけて税金を支払うのですが、
繰り越してきた赤字100万円と利益の100万円を相殺します。
すると所得はゼロとなってしまうので、翌年も税金を支払わなくて済むのです。
事業を始めた年は、まだ売上もおぼつかなく、経費もたくさんかかります。
赤字となることも多いので、開業するときは青色申告の選択をしておくといいですね。
家族への給料を全額経費にできる
小さいお商売だと、配偶者と二人で力を合わせて事業していくことも多いですね。
税法上は配偶者への給料は制限がかかります。
お手盛りで身内にお金を支払うことができるのに、それを経費と認めると税金逃れになる恐れがあるからです。
しかし青色申告なら、従業員へ支払う給料と同じ取り扱いで経費となります。
注意するのは、配偶者控除が受けられなくなることと、青色申告の届け出とは別に届け出が必要になるということです。
30万円未満の償却資産を一時期で必要経費にできる
お商売に使う備品や車などは固定資産といいます。
これらを買うために支払ったお金が10万円以上だと、全額がその年の経費になりません。
固定資産は、何年にもわたって売上を得られる効果があるとみなされるので、取得に要した費用は毎年に振り分けて分割していくのです。
これを減価償却といいます。
青色申告だと10万円以上30万円未満の固定資産なら、買ったその年の経費とできます。
パソコンやデスク・チェア、ひょっとしたら中古車なども対象になるかもしれません。
いずれかは経費になるのですが、やはり支出があったときの税金が安くなる方が有難いですよね。
このように青色申告の特典はなかなか節税になります。
お商売を始めるときなどは、ぜひ税理士に相談してみてくださいね。
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2018年11月11日
株の売買で儲けたときの税金は、なぜお金持ち優遇だと言われるの?
年明けの国会に向け、税制の議論が始まります。
兼ねてから株式の売買で生じた利益に対する税金は、欧米のそれに比べて低く抑えられているとの指摘もあり、
見直しや議論が必要とされていましたが、今年の税制改革から早々に【議論しない】と外されました。
税金は「儲け」にかかります
まず税金の計算についておさらいしましょう。
税金は「儲ける」とかかります。
「儲ける」とはすなわち「トク」をすると言ってもいいでしょう。
お給料をもらって「トク」をする
生命保険が満期になってお金が入ってきて「トク」をする
お商売で儲けて「トク」をする
土地や建物を売って「トク」をする
株を売って「トク」をする
そんなとき、税金を納めます。
株式の売買益の課税はお金持ち優遇である?
では、なぜ株を売った「儲け」が、今の税金計算だとお金持ち優遇だと言われちゃうのか?
それは株式をはじめ金融資産に起因する所得は、分離課税で税金計算されるからなのです。
所得税は、二つの税金計算の体系となっています。
ひとつは総合課税で、もうひとつが分離課税です。
通常の税金計算は総合課税で行われますが、
株式の譲渡益や、不動産の譲渡益など別に定めるものは、
総合課税と分離して計算を行う、
これが分離課税です。
総合課税の税率は累進課税といって、所得が増えるほど高くなっていきます。
一番安い税率で5%、一番高くなると45%(高い!)です。
お金持ちの方は、お金に余裕があるので(これを担税力といいます)、
たくさん払ってね、ということなのです。
しかし、分離課税での税率は、一律20%。
どんなに儲けが出ても税率は変わりません。
お金持ちの方には、総合課税ではたくさん払ってもらっているから、
分離課税では抑えめにしますので、チャラにしてね、そんなところでしょうか。
税金ではよくこういうことがなされます。
増税するばかりだと納税者に不満がたまるので、
いくらかおまけをして、調整しましょうという魂胆(笑)です。
課税庁は、「公平」な課税を実現するため、なんて説明します。
うまいこと言いますなぁ。
しかし、よく考えてください。
株や不動産をたくさん持てる人は誰でしょう?
一生懸命を汗かき、お給料もらう人、事業で頑張っている人は総合所得でしっかり課税されます。
一方、「金持ち父さん」のように不労所得で儲ける人は、分離課税なのです。
だから不動産や金融商品をたくさん持っている人は、
持てば持つほど、低い税率の恩恵を得られるのです。
給料で1億円もらったら、4,500万円が税金ですが、
株で1億円儲けたら、2,000万円の税金で済むということです。
あくせく働く必要がないから、不動産や株を買いますよね。
いつも税金の使い道にうるさい私ですが、
やはり、課税の公平性を保つというのなら、一般庶民、広く国民の皆さんが
納得
するような税金のかけ方にしてほしいものです。
とはいえ、株を売った人、不動産を売った人
いまは通常の税率に加えて復興税もかかっていますし、
長期短期の保有で税率も変わったりします。
分離課税は様々な特例があって、複雑な計算で間違いやすいので、
信頼のおける税理士さんに訊いて申告してくださいね。
決して払いすぎないよう、また不足しないようご注意ください。
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2018年10月18日
消費税10%アップの盲点
安倍総理が早々に消費税10%引き上げを明言しました。
と同時に、増税ショックを和らげるための施策も各大臣に指示しました。
クレジットカードなどで決済されると2%の還元をするとか。
以前消費税をアップしたとき、多くのスーパーでは「消費税還元セール」と称して値引き販売しましたが、
政府は税金を還付するなんて、ありえないことを想像させるのはけしからんといって、「還元セール」という売り方を禁止しました。
でも、今回は政府そのものが「還元セール」をするようで、なんとも納得しがたいですね。
軽減税率の導入
今回は少しでも増税ショックを和らげるため、
外食を除く飲食料品と定期購読新聞に限り、税率は8%に据え置かれます。
軽減というと安くなる感じですが、ただ据え置かれただけなんですね。
言葉の印象って大きく変わりますね~。
インボイス制度で何が変わるの?
今回の改正は単に税率がアップするだけではないのです。
今までと違い適格請求書保存方式、通称インボイス制度に変更になります。
どういうことかというと、請求書や領収書に税率ごとに区分して表示しなさいよ、ということです。
「なんだ、そりゃ当たり前じゃん~」
「今まで作っていたのと、あまり変わらないね」
いえ、大きな変化が隠されているのです。
インボイス制度では、こう定められています。
国税庁の登録を受けた者から、
交付を受けた適格請求書等の保存を、
仕入税額控除の要件とする。
ちょっと専門的でピンときませんよね。
そう、実はここに盲点があります。
免税事業者が淘汰されるかも
まず、消費税の計算を理解する必要があります。
消費税を負担するのは、消費者ですが、
国に納税するのは事業者です。
納める消費税の計算はというと、
売り上げたときにもらった消費税(預り消費税)と、
経費として支払った分の消費税(支払い消費税)との差額を計算して納めます。
つまり、1000を売り上げると、その8%の80をもらいます。
経費で600使うと、その8%の48を支払います。
納める税金は差額の
80-48=32
となります。
この経費で支払った消費税のことを、
仕入税額控除
といいます。
経費として引ける分、そう考えてください。
消費税には特例があって、商いの小さい事業主には税金の納付をしなくていいとされています。
これが免税事業者です。
基準年度の売上が1000万円を下回れば、税金を納めなくていいというもの。
とはいえ免税事業者でも消費税はオンして商売することになっていますからね。
(たとえ消費税をオンしていないつもりでも、計算上は税込とみられます)
益税は出てしまいますが、税の基本思想である「弱者保護」にもなると思うので、私は良いのかなと思います。
しかし、インボイス制度では、免税事業者は適格請求書発行業者と認められないため、
免税事業者から仕入れたものや支払ったサービスの消費税は、
仕入税額控除として認めない
としたのです。
つまり、上の計算の例でいえば、支払った先が免税事業者だとすると
計算上マイナスできる消費税はゼロとなり、納税額は32ではなく、80となってしまうのです。
そうなれば、課税事業者から(お金を支払う側)見れば、
相手は大きなところと取引しよう
もしくは
相手に課税事業者になってもらう
と考えるかもしれません。
免税事業者からすれば、取引してもらいたいがため、わざわざ課税事業者になる、なんてこともあり得ます。
これは「弱者保護」に反する、とも言えるのではないでしょうか。
一応、経過措置が定められていて、
完全なインボイス方式への移行は4年後の平成35年10月からとされています。
仕入税額控除については、平成35年9月までは、現行と同じ100%の控除、
平成35年から3年間は80%、平成38年から3年間は50%と段階的に引き下がっていきます。
税率が上がることにばかり目が行きがちですが、
制度が変わる時には、こうしたところにも配慮が必要だと思います。
こうした税金の集め方が公平なのかどうか
厳しくチェックしていきたいものです。
制度も複雑で、まだまだいろいろと実務上の取り扱いが明らかになると思います。
不安な方は信頼のおける税理士さんに聞いてみてくださいね。
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2018年10月3日
ゴルフの経費、法人と個人での取り扱いが違う!?
暑かった今年の夏も終わり、さわやかな秋晴れ、スポーツの秋がやってきました。
社長や事業主様はゴルフの季節だ!と意気込んでいる方もいらっしゃるかと思います。
ゴルフの費用は経費になるの?
ゴルフをするといろいろ支出がありますが、どんなものがあるのでしょう。
ゴルフ会員権、名義書換料、年会費、ロッカー代、プレー代、そして道具類。
どれが経費になるのか気になりますね。
前提として、法人のケースでお話いたします。
まずは高額なゴルフ会員権です。
ゴルフ会員権は原則的には、資産計上となり、経費にはなりません。
節税にならず、単にキャッシュアウトするだけなので、税理士として購入はお勧めしません。
最近はネットなどで、気軽にプレーできるところが多いので、ひと昔前のように会員権は必要ありません。
注意したいのが会員権の種類です。
それが個人会員権で無記名式法人会員権が無い場合だと、その個人に権利がくっつくことになり、
法人が支払ったお金は給与扱いとなり、所得税がかかります。
給与となるので、経費と言えば経費ですが、たいていは社長や役員さんの名義で購入すると思われます。
すると役員賞与とみなされ、法人の経費として認められない場合もあります。
次に名義変更料ですが、他人から買った場合は取得に要した費用となり、ゴルフ会員権と一体となって資産計上となります。
ただし個人会員権を別の名義に代えるようなケースでは、交際費として取り扱います。
年会費とロッカー代は、その会員権の取り扱いに準じて決まってきます。
会員権が資産計上されている場合なら交際費、
会員権が給与とされている場合なら給与、
となります。
そして、プレー代。
その目的に応じて取り扱いが異なりますが、会社の業務上必要であれば、交際費となります。
個人的な趣味でプレーしたときは給与となり、所得税が本人にかかります。
交際費であれば、誰とどんな目的でしたかを説明できるようにしておきましょう。
最後に、道具やウェアですが、給与扱いとなります。福利厚生費としても認められません。
個人事業主様はお気を付けください
税法では個人事業主様は所得税法、法人は法人税法の適用を受けます。
実は、ゴルフ会員権と年会費については、両者で取り扱いが異なるので注意が必要です。
所得税法上では、ゴルフ会員権は、
事業用資産に該当しない
こととなっています。
つまり、買っても資産計上すらできません。
ということは、その年会費は法人のように交際費にならない、ということなんです。
つまり、
個人事業主様だと、プレーしたときの費用だけが経費となるのです。
法人と同様に考えていると、経費にならず、うっかり税金がかかる、なんてことも。
楽しくプレーするためにも、
事前に税理士に聞いておけば安心ですね。
くれぐれも遊びでいくプレー代や道具、ウェアは社長自身で出すこと!
公私混同は厳禁ですぞ。
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2018年9月20日
お酒と税金について考えてみます
ワインの表示方法がこの10月30日から変わります。
左党である私にとっては大歓迎です。
小さいワイナリーが頑張るようになる
いままでの日本産ワインは市場では玉石混合でした。
評価が高いものもあれば、粗悪な商品もありました。
フランスのように表示を厳格化することで、品質が良くなっていくことが期待されます。
いままでの法律では、外国産のブドウでも、国内の醸造所で製造すれば「国産ワイン」となりました。
今回の改正で、これらは「国産ワイン」という表示はできなくなります。
「国産」と「国内製造」では印象は違いますね。
輸入ブドウは、主に大手メーカーが作るワインに使われています。
輸入ブドウを使うことが少ない地方の中小ワイナリーには、大いにチャンスとなるわけです。
こだわって作られる美味しいワインがたくさん出回り、選べる楽しさもが増していきますね。
嗜好品には高い税金をかける
一方で、ワインは平成32年から段階的に増税されることが決まっています。
美味しいワインが増えるのは喜ばしいけれど、値段がさらに高くなるのはうれしくありません。
ワインの消費が増えるので、税金をしっかりと集めよう、そんな思惑が透けてみるようです。
日本の酒税法では、原材料の比率や作り方などで税金が決まってきます。
だからビールはメーカーが製法を研究し、発泡酒や第3のビールを生み出しました。
味も当初はビールと大きく異なりましたが、最近はとても美味しくなりました。
メーカーさんの努力には頭が下がります。
安くて美味しい、左党にとってはうれしいことです。
しかし、これら発泡酒も第3のビールも、平成32年からビールと同じ税率が課されることになり、
値上げが確実です。
お酒やたばこなど、嗜好品には高い税金をかける、それがわが国の政府の考えなんですね。
ワインの例を採れば、フランスは品質を上げるために法律を作り、
日本は税金をたくさん徴収するために法律を作る。
あ~~~
美味しいお酒を安く飲めるといいのになぁ。
嘆くばかりです(苦笑)。
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2018年9月4日
取引先が倒産!資金繰りが悪化!そんな時のために
現在の日本の景気は、おおむね好調に推移していると言われています。
(中小零細には厳しい感じがあるのですが・・・)
そんなときこそ、万が一に備えをしておく、これも経営者の務めです。
もし、取引先が倒産していまい、資金繰りが苦しくなったら・・・。
銀行に駆け込んで相談?
備えておくのは、生命保険?
いえ、別の方法もあります。
経営セーフティ共済とは
経営セーフティ共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構か行っている、 中小企業倒産防止共済法に基づく共済制度です。
中小企業の取引先事業者が倒産してしまった際の連鎖倒産を防ぐことを目的として、昭和53年4月にスタートしました。
昭和40年代後半オイルショックがあり、大きな景気後退が起こりました。
中小企業では、日本中で倒産件数が増加する中、突然の取引先企業の倒産で被害を受ける連鎖倒産が引き起こされました。
そこで中小企業の相互救済のための仕組みとして作られたのです。
この制度はおよそ50年を経た今でも中小企業の味方です。
掛け金総額の10倍のお金を借りることができる
この制度を使うと、
掛け金総額の10倍の貸付けが即時受けられます!
例えば今までで200万円の掛け金がなされていれば、その10倍である2,000万円が貸付金額となります。
(ただし不良債権の金額が上限ですが)
助かりますよね~
また、倒産していなくても、緊急の物入りの時は一時的に貸してくれる制度もあるのです。
それなら、預貯金と変わらんじゃないか、
いえ、大きな違いがあります。
掛け金は全額損金となる
預貯金なら銀行に預けても、単に資金の移動です。
しかし、この制度では
掛け金はすべて損金(費用)
となります。
その分利益が圧縮されるので、納める税金が少なくなり節税となります。
しかし、物入りの時にはお金に換えられる(利息はかかりますが)のは、通常の銀行借り入れより手続きもラクで助かります。
さらに、この制度の特徴として、40ヶ月継続すると、
任意解約しても解約返戻金が100%が保証
されているのです。
解約返戻金が100%は民間の生命保険会社の商品ではあり得ません。
お金を掛け金に回せるようなときは、利益が出ているときでしょう。
掛け金が損金になれば節税になるので助かりますね。
逆に、お金を引き出したいときは赤字の時でしょう。
解約返戻金は雑収入として益金処理しますが、その時の赤字と相殺すれば、これまた税金は助かります。
タイミングは注意する必要がありますが、
節税しながら、万が一に備えられる。
制度を知らなかった、加入していなかった個人事業主様や経営者の皆さま、
ぜひご一考ください。
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2018年6月22日
保険を法人契約する際のポイント
前回まで、法人と個人事業の選択のお話をしてまいりました。
その中で法人のメリットとしてご案内したものの一つに、生命保険があります。
生命保険の種類は様々
一口に生命保険といっても、日本の会社の保険から外資の保険まで様々です。
保険ですから、何か不測の事態が起きたときのために、お金が下りるようになっています。
社長が病気になったら・・・
社長が障がい者になってしまったら・・・
社長が要介護状態になってしまったら・・・
そして
社長が亡くなってしまったら・・・
私たち税理士が関わるお客様は、上場会社と違い、
オーナー経営者の方々ばかりです。
社長に何かあったら、経営はすぐに影響を受け、
たちまちお金が大変なことになってしまうケースもしばしば。
そのためにも保険は大切なのですね。
税務上の取り扱いは
そんな不測の事態に備えて、保険に入ります。
では、税務上支払った保険料は損金(経費)になるのでしょうか
まず税務上、保険は、その内容によって3つに大別します。
① 養老保険
満期、または被保険者の死亡によって保険金が支払われます。
② 定期付養老保険
①の養老保険がメインですが、定期保険も特約でついています。
③ 定期保険
一定期間内に被保険者が死亡した場合のみ保険金が支払われます。生きている間にもらう生存保険はありません。
そして受取人をだれにするかで取り扱いが決まっています。
養老保険の場合、
① 法人
② 被保険者またはその遺族
③ 死亡保険金が遺族で、生存保険金が法人
定期付養老保険の場合、
定期保険の保険料の保険については
① 法人
② 被保険者の遺族
養老保険の保険料については
① 法人
② 被保険者またはその遺族
③ 死亡保険金が遺族で、生存保険金が法人
定期保険の場合、
① 法人
② 被保険者の遺族
国税庁のHPに詳しく書いてありますから、ご確認いただけます。
損金になる場合と資産として取り扱う場合に分かれます。
また損金といっても、「お給料」扱いになって源泉税を納めなくてはならないケースもあります。
気を付けるポイントはひとつ
さて、区分してケースに分けると分からなくなってきますね(苦笑)
ややこしい。
でもポイントはひとつです。
それは
保険金は誰がもらうのか
です。
税務の考え方として、支払うのは法人ですから、
法人がもらうことになっていれば、支払保険料は損金、受取保険金は益金になります。
個人がもらうことになっていれば、それは受けるメリットが個人に移動するので、個人に課税がなされることになります。
よく節税対策目的で、決算間際に相談を受けます。
しかし保険はあくまで保険。
損金になれば、それは節税といえますが、キャッシュが外に出ていくことになります。
保険の性格と目的をしっかりおさえて、有効に活用してくださいね。
保険マンには「節税になるよ、損金になるよ」と言われても、
うっかりがないよう、かならず確認をなさってください。
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2018年6月4日
法人と個人事業の選択~その4~
前回まで3回にわたって法人のメリットについてお話ししてきました。
今回は法人化のデメリットと個人事業のいいところをお話しします。
法人化のデメリットは、裏を返せば個人事業のメリットでもあります。
法人登記でお金がかかる
まず法人化するのにお金がかかります。
今から14年前、2006年の会社法改正で最低資本金制度が撤廃されました。
昔は株式会社を作るには資本金が1,000万円、有限会社で300万円が必要でした。
起業するのにこれだけのお金を用立てするとなれば大変ですよね。
それが改正で1円からでも起業できるようになったのです。
確かに資本金を用意しなくてもよくなりましたが、会社登記にはやはり30~40万円かかります。
しかし個人事業でしたら、思い立ったが吉日、その日からお商売が始められます。
自由に使えるお金は
プライベートに使えるお金の自由度は個人事業の方に分があります。
利益となったお金は、極端な話、税金と借金さえ返せば自由に使うことができます。
法人でも、普段から個人で計画的に預貯金などしてあれば良いのですが、
子どもが私立大学に入学した等、急なもの入りの時に、法人からお金を引き出すことは難しいです。
公私混同はNGなんですね。
役員報酬は原則前もって定額で決めていますので、そのようなときには余分にお給料ください、とはなりません。
会計や税務が複雑
やはり申告書ひとつにとっても法人税の方が難解です。
租税特別措置も多岐にわたっています。
個人の確定申告なら税理士に頼まずとも、なんとかできるかもしれませんが、
法人となれば専門家に頼まないと難しいです。
そうなれば費用もかかってきますね。
税務調査でも違いが
税務調査では、経験則上、法人の方が厳しいと思います。
法人税は個人の所得税より難解でもあり、
税務処理が難解ということは、その運用でも意見の相違が出やすいと言えます。
また個人事業の場合は、課税は最終的に相続税で補完することができると考えられます。
したがって税務調査の強弱でいえば差が出るかもしれません。
青色申告控除が個人事業にはある
個人事業主特有の制度と言えば、青色申告控除があります。
青色申告をすれば利益のうち65万円を非課税にしてくれます。
個人の方が頑張ってお帳面を付けたご褒美のようなものでしょうか。
この金額をもって税理士費用にと考えている人もいますね。
自分限りの事業なら
会社を大きくして子どもに継がせるなら会社にするのもありですが、
自分の代だけで終わるお商売なら法人にする意味合いも薄れます。
法人は赤字でも支払わなければいけない均等割という税金や、
運営に関して税理士や社会保険労務士等に支払う費用も多くなります。
社会保険料の負担が大きい
社会保険料は従業員と会社の折半で支払います。
役員報酬なら、将来の自分の年金に反映しますが、従業員の分は持ち出し。
額面より10%多く人件費を支払う心づもりでいてください。
とはいえ社会保険完備は採用には有利ですから、その点はメリットにもなるかと思います。
4回にわたって個人事業と法人の選択についてご紹介してきました。
法人であれ、個人の事業主様であれ、黒字を出して税金は納めてほしいとは思います。
でも、税金を払いすぎるのももったいない。
節税だけでなく、
事業の将来や、目指すところも考えて法人化を検討してみてくださいね。
もし法人化を考えているのなら、信頼のおける税理士さんにぜひ相談してくださいね。
節税以外でも大局的にアドバイスしてくれる人なら、良きパートナーとなってくれると思います。
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2018年5月15日
法人と個人事業の選択~その3~
前回は法人化するメリットをお話ししました。
今回もまだまだある法人化のメリットをご紹介してまいります。
繰越欠損金が9年もある
青色申告が要件ではありますが(とはいえおそらくほとんどの法人様は青色でしょう)、
繰越欠損金の繰越期間が9年間あります。
繰越欠損というのは赤字を翌年に繰り越して、翌期の黒字と相殺ができるというもの。
もし多額の欠損金が出たら、翌年以降の利益額にもよりますが、数年間は納税不要となる場合もあります。
個人事業主であれば繰越欠損の期間は3年間。
法人はその3倍となるわけです。
消費税が免税となる
こちらもご存知の方も多いですね。
消費税は売上が1,000万円を超えると課税事業者となり、消費税を支払わなければなりません。
その支払う年度はというと、2年前の売上額が1,000万円を超えていた年。
「今年1,000万円を初めて超えちゃったよ~。今年の申告で消費税を払わないかん?」
いえ、消費税を支払う年は再来年です。
消費税は2年前を基準年度として判定することになっているのですね。
つまり法人成りしたら(個人事業を法人化すること)、基準年度が最初の2年間はないため免税事業者となり、
消費税を支払わなくてよいとなります。
ただし、資本金が1,000万円以上だったり、
大会社の子会社や、最初から利益が出て年1,000万円以上の給料を出したりしているとこの限りではありません。
税理士さんに必ず相談してくださいね。
将来事業を承継しやすい形を作れる
会社は株式という単位をもって売ったり譲ったりできます。
もし将来、子どもに商売を譲ろうと考えるのなら株式会社は便利です。
子どもに譲ろうと思ったときは、当然子どもからももらってうれしい成長会社であるはずです。
(赤字会社だと困ります)
だけど全部もらうとなると贈与となり、多額の税金がかかってしまいます。
しかし法人化しておけば、株式の単位に小分けすることができるので、
課税を抑えながら計画的に贈与することが可能になります。
事業年度を自由に決められる
個人事業であれば税金計算する時期は決められています。
1月~12月の暦年を基準として、決算をして翌年の3月15日までに確定申告をします。
しかし法人であれば決算月は自由に決められますし、途中で変更することもできます。
忙しい時期や、お金がいる時期に申告や納税が重なると大変です。
比較的時間やお金に余裕がある時期を決算月とすることをお勧めします。
さて、いかがでしたでしょうか。
法人にするメリットはいっぱいありますね。
でもちょっと待ってください。あわてないで。
次回はデメリットにも触れて考えていきたいと思います。
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2018年5月1日
法人と個人事業の選択~その2~
さて、前回は所得税と法人税の税率の違いに着目してみました。
今回は法人化するとメリットがいろいろありますよ、というお話をしたいと思います。
代表取締役の給与では給与所得控除が受けられる
前回もお話ししましたが、給与としてもらうことに変更するだけで、節税ができます。
事業所得(利益)だと、その金額全部に税率をかけて計算するのですが、
給与であれば給与所得控除といって、給与のおよそ20~35%くらいが経費とみなされ非課税となります。
つまり給与所得控除分が節税となるわけです。
奥様や家族に対する給与が役員報酬として決められる
個人事業であれば、青色専従者給与として届け出た金額しか経費になりません。
専従者ですから「もっぱら事業に従事している」事実が必要となります。
しかし法人であれば、役員報酬は非常勤であっても支給が可能となります。
またその金額が適正であれば、自由に決めることができるのです。
代表者への退職金が受け取れる
会社の役員を退くときには退職金を出すことも可能になります。
退職金は、退職後の生活資金の性格があるため、税法では非課税の枠が大きいため節税になります。
一方、個人事業主だと経費として認められません。
小規模共済へ加入してその掛け金が所得控除として認められるだけで、
退職金の金額も掛け金に応じた金額となります。
将来受け取る年金額が増える
個人事業ですと国民年金が基本的な年金となります。
残念ながら支給される年額は90万円ほど。物価スライドとはいえ十分ではありません。
(もちろん個人年金基金や、確定拠出年金、生命保険会社の個人年金へ別途加入することはできます)。
法人であれば給与額に応じて保険料が決まっており、会社側が半分を負担するため、
個人で負担する掛け金が同じとするなら、将来もらえる年金額はぐっと多くなります。
生命保険の使える幅がぐっと広がる
個人の場合、生命保険にはいっても税金の恩恵は小さいです。
生命保険控除といって最高でも12万円までしか所得控除がありません。
多額の掛け金を支払っても、所得税率が20%の人なら、12×20%=2.4万円しか税金は助からないのです。
法人であれば違ってきます。
目的に応じていくつも入れます。
退職金の原資として使えば、法人でも課税を抑えながら、個人へ資金を移動することも可能になってきます。
(このあたりの仕組みは税理士さんに聞いてくださいね)
保険商品によっては、積みたてるものもあれば、全額経費となるものがあります。
法人税を抑えながら、将来の不測の事態に備えることができるのです。
私たち税理士が応援する会社は、同族会社とされる家族経営の会社が多いです。
個人で頑張って稼いだ財産を様々な方法で節税したい、
そう考えると上記のように法人化するメリットも多いと思います。
次回はまだまだ使える、こんな法人化のメリットをお話ししたいと思います。
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