2021年3月10日
専従者給与と、青と白
榊原事務所では確定申告も追い込みです。
最後のラストスパートに入りました!
とはいえ、世の中では緊急事態宣言の影響で、申告期限が一か月延長され4月15日、
振替え納税の手続きをしていれば、納税期限は5月末日、と余裕はあります。
少しホッとしますね。
専従者給与って
個人の事業をしている方ですと、家族経営をしてる方も多いです。
男性の事業主なら妻や兄弟、時には母に仕事を手伝ってもらう、こともありますね。
しかし個人事業だと、原則、
家族に支払う給与は経費になりません
え~~!?
私は無償で働いてるわけじゃないよ!
社会に出て同じ事すればお給料もらえるのに!
そうですよね、なんだか納得いきません。
ですので、税法上も一定の要件さえ満たせば、経費として認められます。
15歳以上の生計を同一にしている家族従業員であって、もっぱらその事業に従事していれば、
専従者として経費対象になるのです。
ポイントは、
- 生計が同一(どういつ)であること
- もっぱらその事業に従事していること
生計が同一とは、お財布が一緒の家計で生活していること、とお考え下さい。
仕送りで生活している大学生なんかは生計同一となりますよ。
もっぱらとは、専従者の漢字を見て分かるように、ほぼその事業に従事していることです。
ですから、家族でも、
アルバイトをいくつも掛け持ちしている、
週に一日だけ手伝っている、
では要件を満たさないことになります。
少なくとも事業期間の半分を超えて働いていることが必要です。
青と白の違い
個人の確定申告は、青色申告と白色申告の二つに分かれています。
専従者給与も青色と白色では、異なった取り扱いになっているので注意してくださいね。
青色の場合、「青色専従者給与の届出」を出す必要があります。
うっかり間違いやすいのが、
「青色申告の届出」を出していても
青色専従者給与に自動的になるわけではないのです。
「青色の届出を出したから~」
ではうっかりになっているかもしれませんよ。
その代わり、青色専従者であれば、支給する金額は、
従業員さんと同様に、自由に決められます。
ただし、あまりにも特別扱いの金額だと、
税務署から「ちょっと待った」がかかるので気をつけましょう。
白色の場合、届出を出す必要はありません。
申告書に金額を記入するだけでよいです。
しかし、金額の上限が決められていて、
配偶者(夫または妻)なら86万円、
それ以外の家族なら50万円、
となります。
そして白色の場合は、事業期間の半分を超えてではなく、6か月を超えて働いていることが必要です。
例えば、4月オープンの事業であれば、12月まで9か月あります。
青色なら半分の4.5か月を超えて働いていれば専従者となりますが、白色だと6か月を超えて働いていないと専従者になれないのです。
また、専従者としてお給料を渡すと、その金額いかんにかかわらず、
配偶者控除や扶養控除ができないことになります。
ダブルで控除ができないということです。
いろいろとややこしいですね。
個人の事業主さんだとご自身で申告されている方も多いでしょう。
とはいえ、うっかりで税金を払いすぎたり、追徴をもらわないように
信頼のおける税理士に相談してくださいね。
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お楽しみに!
2021年2月12日
節税ってどういうこと?
確定申告の時期がやってまいりました。
すでにご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、
緊急事態宣言が出されておりますので、申告期限が一か月延長され、
4月15日、となっております。
とはいえ、榊原事務所では、従来の3月15日を目標に申告を終わらせますよ!
お客様の節税のイメージ
確定申告するお客様は、なぜ税理士に依頼するのでしょうか。
専門用語がよく分からない
面倒くさい
計算が合っているか不安だ
損をするかもしれない
など、いろいろあると思います。
そのなかで、よくお願いされるものは、
「節税したい」
です。
税金を払い過ぎたくない、
よ~~~く、分かります。
私だって、払い過ぎたくない一人です(笑)
でも、ちょっと待ってください。
「節税」って何?
そもそもの定義やイメージが、お客様と私たち税理士と違っているかもしれません。
お客様の節税イメージは、
「少しでも支払う税金を少なくしてほしい
だから、税理士さん、頼むよ~」
では、ないでしょうか。
はい、仰せのとおりに!と景気よく返事をしたいところですが、
できることと、できないことがあるのです。
榊原の考える節税とは
私の考える「節税」は、
正しく税金計算をすると、節税になる
でございます。
税金計算は、法律で決まっています。
そして、その解釈も通達で示されています。
どう取り扱うかは、ほぼ決まっているのです。
もちろん、実務では、そのものズバリとならないケースもあるので、
裁判例や法令の読み方、解釈で判断することになります。
よく新聞で、著名な会社で税務調査があって、
「見解の違いで、税額が違っていたので、修正をしました」
記事をよく見ますね。
法律を読み解き、特例や措置法など、
細かな法令まで検討して、税額を計算する、
これが、「正しい税金計算」です。
もし、「無知」が原因で税金計算したら、税額が増えてしまった。
これは、「正しくない税金計算」なのです。
払い過ぎは、もったいないですよね!
特例や措置法を使おうとすると、
申告時期(すでに決算が終わっている時期)では、後の祭りとなるケースもあります。
決算の進行している年度内、もしくは始まる前に、
いろいろ手を打っておかないといけないこともあるのです。
ですので、申告時期に計算した税額に対して、
「先生、これは多すぎる~
もう少し安くならないの~」
と言われても、できないのです。
そう言って、もし安くなるとしたら、それは「節税」ではなく
「ごまかし」や「嘘」
あってはならないのですが「脱税」
となってしまうかもしれません。
これらは、けっしてやってはいけないことです。
どの税理士でも、「正しい税金計算」をして、
少しでもお客様の税金を払いすぎないように、努力されています。
その辺をよ~~く理解して、あまり無理をおっしゃらないでくださいね(苦笑)。
信頼のおける税理士に頼んで、「正しい税金計算」で
払いすぎないように、してくださいね!
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2021年1月14日
中小企業の皆さん、固定資産税の減免申請が間近です
明けましておめでとうございます。
皆さまが、少しでも前向きに、おかげさまの精神で、経営に取り組んでいけるように、
頑張っていきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
とはいえ、年末から毎日のように新型コロナウイルス感染の数が更新され続けています。気分的に晴れやかになれません。
固定資産税とは
固定資産税が課されるのは、大きく分けて二つです。
一つ目は、不動産、いわゆる土地や家屋ですね。
土地は、田、畑、山林、牧場などです。
また、建物は住宅、店舗、工場、倉庫などになります。
もう一つは、償却資産です。
償却資産とは、土地や家屋以外で、
会社で使用しているパソコンやコピー機、備品など、
時間の経過とともにその価値が減少していく物をいいます。
ほかに、各種製造設備や医療機器、航空機、船舶なども該当します。
償却資産に含まれないものとしては、
自動車税の対象となる自動車、
特許権など無形固定資産などです。
固定資産税はその年の1月1日に所有する不動産や、設備などの評価額に対して課税されます。
そう、所有しているだけで課税されるため、たとえ業績が悪化し赤字となっても税金がかかってしまうんですね。
家屋や設備を多く保有する事業では、金額も大きくなって納税が大変です。
固定資産税の減免が受けられるのは
新型コロナウイルスの影響で、大きな影響を受けた中小企業の皆様には、今年度の固定資産税の減免が受けられます。
ただし、この制度は令和3年度の固定資産税・都市計画税のみ減免されることとなっています。
今のところ、今年限りの特例となります。
対象になるのは、
①中小企業者であること
-
資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
-
資本又は出資を有しない法人で、従業員1,000人以下の場合
-
個人で従業員1,000人以下の場合
多くの会社や事業主さんが対象になりそうです。
ただし、大企業の子会社等は、残念ながら含まれません。
②売上高が大幅に減少していること
2020年2月~10月までの、任意の連続する3ヶ月間の事業収入が、
対前年同期で比べて30%以上減少
(減免額)
売上の減少比が
30%以上50%未満 半分減免
50%以上 全額減免
(減免対象)
-
事業用家屋及び設備等の償却資産に対する固定資産税(通常、取得額または評価額の1.4%)
-
事業用家屋に対する都市計画税(通常、評価額の0.3%)
※事業用であっても土地は軽減の対象となりません
手続きで押さえておいてほしいこと
固定資産税はその年の1月1日に所有している資産に課税されます。
したがって、年明けの今が市町村へお伝えする最終のタイミングとなっています。
今回の申告期限は、今月末までとなります。
申請するのにも、書類を整えなければなりません。
ご自身ですぐ書けるものもあれば、
法務局に行って謄本を発行してもらったり、
認定経営革新等支援機関から認定の書類を書いてもらうものもあります。
現在は、締め切りが迫っているため、
認定経営革新等支援機関以外の機関や、税理士など有資格の方からでも
それらの書類を書いてもらえます。
いずれにしても時間的余裕が必要です。
該当しそうだな、そう思ったらすぐに
信頼のおける税理士に相談してみてください。
焦る必要はありませんが、
お急ぎくださいね。
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2020年12月11日
消費税 1,000万円の落とし穴
消費税申告には、気づきにくい落とし穴が結構あります。
その中で、今回取り上げたいのは「1,000万円」の落とし穴です。
新しく事業を始める時、世間一般で広く知られているのは
最初の2年は消費税がかからない
実は、このことが広く行きわたっているがために、うっかり落とし穴に入ってしまうことがあるのです。
会社設立時の1,000万円
消費税がかかるのは1,000万円。
金額ばかりにとらわれると、うっかりが生じやすいのです。
確かに、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税の課税事業者になりません。
基準期間とは、現在の進行期の2年前の年です。
だから設立したばかりの会社であれば、売上がないので消費税課税事業者にはなりません。
しかし、以下のケースのいずれかに当てはまると、最初の年から消費税の課税事業者となるのです。
注意するのは売上高だけではありません。資本金も注意してください。
-
資本金が1,000万円以上
-
合併・会社分割等があった
-
特定新規設立法人である
平成18年に会社法が施行されるまでは、株式会社の最低資本金は1,000万円とされていました(平成14年から条件付きで最低資本金は1,000万円でなくてもよくなっていました)。
その名残でしょうか。
「株式会社をつくるなら、資本金は1,000万円いる」
「会社の信用を高めるには1,000万円」
「キリがいいから」
とうっかり1,000万円にして登記してしまうことも。
会社設立は、司法書士の主たる業務なので、税理士が関わらずともできます。
まずは箱を作ってから、事業が軌道に乗ってきてから、と税理士に関わらない方もいらっしゃるでしょう。
一度登記してしまえば、もう後の祭り。
最初の年から消費税課税事業者となってしまうのです。
落とし穴は、売上か資本金か。
以下か未満か。
売上に注目すれば1,000万円以下が免税。
資本金に注目すれば1,000万円未満が免税。
同じ1,000万円でも大きな分かれ目ですね。
ふたつ目と三つめは、イメージとして、
大きな会社ですでに事業をしていて、その一部を分社・分割して新たに会社を作って、
その子会社としてスタート。
実態を見れば、すでに実績等もあるため、課税事業者となってね、ということです。
税金は弱者保護の視点が背景にあります。
新しく立ち上がったばかりの、よちよち歩きだから、おまけしてくれるのです。
基準期間の1,000万円
消費税の課税事業者になるのは、売上が1,000万円を超えた年ではありません。
基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていた時です。
ここで落とし穴。
課税売上高ってナニ??
消費税法ではこのように規定されています。
課税売上高は、輸出などの免税取引を含め、返品、値引き、割戻しをした対価の返還等の金額を差し引いた額(税抜き)
いわゆる税抜きの金額で判定します。
しかし、基準期間において免税事業者であった場合は、基準期間である課税期間中の課税売上高には、消費税が課税されていない、とみなすため、税抜処理を行っていない金額、つまり税込み金額で判定することになっているのです。
通常は、免税事業者であっても、税込価格で販売しているはずです。
しかし会計基準では、「税抜処理方式」が原則とされているので、決算書の売上高は税抜になります。
免税事業者だった場合は、上記のように「税込価格」で判定をすることになるため、
決算書では950万円と売上高が表示されていても、税込みになおすと1,045万円。
うっかり課税事業者だと気付かないこともあるのです。
このことが、どういう結果となるのでしょうか。
消費税法では、課税売上高が5,000万円以下の事業者なら、
一般課税方式と簡易課税方式が選択できます。
選択できるということは、税額が違ってくる、ということです。
しかし、その選択届出は、前の期に出しておかねばなりません。
もし自分の会社が課税事業者にならない、そう思っていると、届出を出すことを忘れてしまい、
結果、多くの税額となってしまうこともあるのです。
また、課税売上高は「課税される取引」と思い込んでいると、うっかり落とし穴にはまります。
国税庁のHPで、
売上高が1,000万円を超える場合(消費税について)
(参考) 申告や納税について知っておきたいこと
のなかに次の記載があります。
「ほとんどの取引に係る売上高が課税売上高に該当しますが、土地の売却収入、住宅家賃、社会保険診療報酬など、消費税の非課税取引に係る収入等は除かれます」
税金は課税されるものと非課税のものに分けられる。
それは正しいです。
課税売上高の定義をもう一度、見てください。
「課税売上高は、輸出などの免税取引を含め、・・・」
輸出品は消費税はかかっていません。
だから輸出売上は「非課税」だと思い込んでいませんか。
輸出売上は課税売上高に含めます。
輸出は消費税率が0%
の課税売上高になるのです。
ウチは輸出売上がメインだから、消費税の課税事業者にななってないよ、
それは要注意です。
開業2年目の1,000万円
会社設立、事業を開業した最初の2年間は、消費税はかからない。
平成25年の消費税改正までは、そうでした。
しかし、いきなり業績絶好調、事業も軌道にのりました、
そんな会社には、2年目でも消費税は支払ってもらいましょう、となったのです。
1年目の最初の半年で、
課税売上高が1,000万円または、給与の支払いが1,000万円を超えたら、
2年目は課税事業者となり、消費税を支払うことになります。
だから最初の2年は、消費税は払わなくていいもんね、
そう思っているとうっかり落とし穴にはまります。
いかがでしたか?
消費税の落とし穴。
起業しようと考えている方、
事業を始めて間もない方、
うっかりがないように、信頼のおける税理士に、
事前にいろいろ相談してくださいね。
損をしないアドバイスをしてくれると思いますよ。
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2020年11月13日
ひとり親と年収850万円超の方、年末調整が変わります
朝晩が冷え込むようになりましたね。
年末調整の封書が、税務署から届き始めました。
ウチの事務所へも、お客様から問い合わせが来ています。
今年の年末調整で、注意していただきたい方がいます。
それは
お給料をもらって働いている方で、
-
ひとり親の方
-
大学生までの子どもを扶養している、年収850万円超の方
ひとり親の方は税額が変わるかもしれません
今年から所得控除にひとり親控除が創設されました。
従来の寡婦・寡夫控除の不足分を補う形で設計されています。
扶養する子どもがいるひとり親は、男性でも女性でも、等しく控除を受けられるようになりました。
そして、事実婚が無かった親、いわゆる未婚の母でも、税金が少なくなります。
ひとり親控除の金額は35万円で、これまで特別の寡婦が受けられた金額と同じです。
子育てと仕事を頑張っているシングルパパ、シングルママに優しくなりますね。
さて
今までの税金計算では、所得控除として、
寡婦控除
寡夫控除
がありました。
男性と女性で(パパかママか)で取り扱いが異なっていました。
あなたが女性なら、寡婦控除を検討します。
① 夫と死別または離婚している(再婚はしていない)
② 扶養家族、または合計所得が38万以下となる生計同一の子どもがいる
③ 合計所得が500万円以下
この3つの要件で判定します。
全部が該当し、②のうち子どもがいる、という方は特別の寡婦と言って、
35万円が所得から差し引かれて税金計算されます。
シングルママで所得も多くないので、税金は助けよう、という主旨です。
③だけ該当しない
例えば、離婚して子どもを引き取り、バリバリ仕事をしている母子家庭のキャリアウーマン
①と③が該当する(死別の場合)
例えば、夫と死別をしたのだが、子どもは独立したので、多くを稼ぐ必要がなく暮らしている女性
全部該当するが、②のうち子どもでない扶養家族がいる
例えば、離婚して、年老いた母を扶養しながら暮らしている女性
これらの方々は寡婦控除として27万円が差し引かれます。
条件の組み合わせで控除額が決まってきます。
しかし①だけ該当しない、つまり未婚の母で収入が多くない方は、
これまでは寡婦控除が受けられなかったのです。
いわゆる「シングルマザー」と呼ばれるような方をイメージしてください。
未婚の母は、事実婚が無い方と定義されています。
今回のひとり親控除が創設されたことで、未婚の母も税金が少なくなりました。
一方で、今まで女性は所得制限を受けずに、寡婦控除を受けられたのですが、
合計所得が500万円超だと控除を受けることができなくなりました。
ここは男女とも同じ条件に合わせたと言えますね。。
あなたが男性なら、寡夫控除となります。
① 妻と死別または離婚している(再婚はしていない)
② 合計所得が38万以下となる生計同一の子どもがいる
③ 合計所得が500万円以下
男性の場合、全部を満たしている場合のみ、寡夫控除27万円が差し引かれます。
アレ?男性女性で比べると、違いますね。
男女不平等!?と思われるかもしれません。
税金には、弱者保護の思想が背景にあります。
つまり、これは女性の方が男性に比べて不遇とされている社会の裏返し、
ともいえるのではないでしょうか。
離婚して年老いた母を扶養しながら暮らしている男性は、所得が少なくても、女性のように税金は助からないのですね。
なんだかね~
要するに、これまでの「特定の寡婦」「寡夫」が無くなり、
- 未婚の母は減税
- 男性のひとり親は減税
- 所得が500万超の女性は増税
となるのです。
事実婚や内縁関係である場合には、これらの控除の適用はありませんからね!
ごまかしはいけませんよ。
そして再婚をすると、適用されなくなりますから心得てくださいね。
所得が850万円超のお給料をもらっている
もうひとつ年末調整で注意したい点があります。
それは、給与収入が850万円を超える高サラリーの方です。
今年から給与所得控除の上限が引き下げられました。
給与所得控除とは、サラリーをもらう人の非課税枠と言えるものです。
その上限が下がるということは、高サラリーの方にとっては増税だということです。
しかし、子どもを扶養している方々については、税金は少なくしますよ、
これが所得金額調整控除と呼ばれる制度です。
実は勘違いしやすい点があります。
もし子育て家庭で、夫婦ともに年収850万円を超える家庭であれば、
夫婦それぞれで、所得金額調整控除が受けられる、ということです。
扶養家族を控除する場合は、パパかママ、どちらか一方から控除となるので、
それと混同しやすいのです。
このケースの方は、年末調整時に「所得金額調整控除申告書」を書いて、会社に提出することになります。
お忘れのないように。
年末調整は、ご自身で行わず、会社が行います。
出すものが出していない、申告をしていない、
そんなこと税金計算が高くならないように、納税者として
しっかりと押さえるべきところは押さえてくださいね。
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2020年6月10日
固定資産税・都市計画税の減免
6月になりました。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は、解除された地域も多いですが、
引き続き、注意が必要ですね。
新しい行動様式に、慣れていかねばばりませんね。
頑張りましょう!
固定資産税・都市計画税とは
経営者の皆さまのもとには、事業所のある市町村から、固定資産税の通知が来ているのではないでしょうか。
事業を営むにあたり、店舗や工場、機械など、儲けを出すために使う資産を、固定資産といいます。
その年の1月1日に所有している固定資産に、税金がかかります。
納税通知は、市町村から5月ごろに送られてきます。
コロナで影響を受けた方は減免
今回の新型コロナウイルスの影響で、売上が減少した経営者様には、
その減少割合に応じて、
税金の1/2、または全額
が減免されます。
この減免を受けられるのは中小企業者(法人・個人は問いません)で、
- 2020年2月から10月までで
- 任意の連続する3か月間
- 事業収入が、前年同期と比べて
- 30%以上 50%未満 売上減少で1/2
- 50%以上 売上減少で全額
の固定資産税が減免されます。
手続きは
手続きとしては、法人様なら、謄本と会計帳簿をもって
① 認定経営革新等支援機関で確認書をとる
② 市町村に軽減申請をする
2段階となります。
認定経営革新等支援機関は、税理士や中小企業診断士、銀行や商工会などですので、
お尋ねしやすい方に、訊いていただくと良いかと思います。
注意するのは、減免されるのは、2021年の固定資産税です。
つまり、来年のこの時期に通知が来る分。
今年の分は、減免になりません。
もし売上が20%以上、減少しているなら納税猶予といって
来年に支払うこととして、支払い延長することができます。
こちらも市町村へ届け出る必要があります。
詳しくは、信頼のおける税理士にお尋ねください。
親身になって相談に乗ってくれると思います。
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2020年3月10日
確定申告の期限が延長!
新型肺炎、コロナウィルスの影響で、個人の確定申告の期限が4月16日に1か月延長されました。
私は税務の業界に22年携わっていますが、初めてのことです。
驚きました。
調べると、2011年の東日本の震災で被災地の延長があったことはありましたが、
全国一律となると史上初のことのようです。
とはいえ、事務所では通常の3月15日をめどに申告作業は進めています。
納税資金も早く確定したいですし、還付の方なら早く申告したほうが、早く戻ってきます。
期限に間に合わなかったら、様々なペナルティや不利益があるので、ご注意くださいね。
期限後申告のペナルティは
期限後申告をすると、罰金として無申告加算税がかかります。
納税額に対して以下の割合で加算されます。
その金額は2つのケースに分かれます。
(1)税務署の指摘を受けるまえに自主的に期限後申告した場合=5%
(2)税務署の指摘のあとで期限後申告した場合
=納税額のうち50万円までは10%、50万円を超える部分は15%
自分で気づいて直せば、安くなるんです。
例えば100万円の納税額だと、どれくらいの差が出るか、見てみましょう。
(1)自主的に期限後申告した場合
100万円×5%=50,000円
(2)税務署の指摘で期限後申告した場合
(50万円×10%)+(50万円×15%)=125,000円
なんと75,000円も罰金に差が出ます。
それだけではありません。
遅れていた分の延滞税、つまり利息相当分も日割りで加算されます。
法律上の原則では年利率14.6%!!
消費者金融より高いかも。
ただ市場の経済状況で毎年変わっていますので、低金利の時代ではここまで高くはないのですけどね。
とはいえ、期限に遅れちゃったから、そのうち出すよ、なんて放置すると大変なことになりますよ。
無申告加算税がされないケースもあります
無申告加算税が課されないときもあります。
それは
- 申告期限後1ヵ月以内に自主的に申告している
- 直近5年間に期限後申告がない
- 確定申告の期限内(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)に納税は済ませている
ときです。
今までちゃんと申告と納付はしていました。
たまたま今回は遅れてしまった。
だけど、すぐ気づいて申告しました!
という方は救済されます。
真面目が一番ですね!
青色申告の取り消しも
青色申告をしていると特典があります。
そのひとつに青色申告控除があります。
来年の申告から、電子申告という要件がつきますが、
事業所得から65万円控除する制度です。
非課税枠が65万円、ごほうびがもらえる!と思ってください。
しかし、期限後となると65万円の控除が使えず、10万円に減額されてしまうのです。
期限後申告を2年連続でしてしまうと、大変です。
青色申告そのものを取り消されてしまうリスクがあります。
青色申告を取り消されると、家族に認められていた専従者給与も経費になりません。
必ず取り消されるとは法令上なってはいませんが、
税務署が判断して通知が来ることになっています。
納税は国民の義務。
真面目に、しっかり計算して
期限内に申告をしましょう。
申告が難しいなと思ったら、
信頼のおける税理士に相談してくださいね。
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2020年2月10日
来て見てビックリ住民税
事務所では、ようやく年末調整の処理がすべて終わりました。
サラリーマンの確定申告である年末調整。
年末調整という言葉から、年内に終わるイメージですが、
実は、終わるのは税金計算までであって、
その後の処理が年明けにあるのです。
年末調整のデータはお住まいの市町村へ
私たち税理士事務所では、関与先から給与と年末調整に必要なデータを預かり、
概ね年内に納税額を計算、納付書と源泉徴収票を事業主様へ送付します。
納付書は事業主様が受け取って、会社の分をまとめて納税します。
源泉徴収票は本人様に渡され、通常のお給料と共に還付金が支払われます。
その源泉徴収票のデータは、1月中にお住まいの市町村へ送られることになっていて、
これらを税理士事務所では行っているのですね。
住民税の納税額は春に決まります
市町村では、このデータをもとに、住民税の計算をします。
その結果が、5月ごろ、お勤めの会社か、本人様へ通知されます。
住民税の納め方は、普通徴収と特別徴収の二つがあります。
普通徴収は、本人様へ通知が行きますので本人様が支払います。
特別徴収は、お勤めの会社へ通知が行き、給料から天引きされ、会社が納めます。
特別徴収が基本的な処理となりますので、会社勤めの方は普通徴収とはなりません。
あべこべなので変ですね!
少し前までは、普通徴収を選択できたのですが、ここ最近では総務省からのお達しで、
特別徴収にするように指導されています。
「会社からの天引きに変わったよ」という方はそのためです。
所得税は前払い、住民税は後払い
住民税の特徴は、年末調整で計算されたデータをもとに計算されるので、
後払いの税金となります。
国税は反対に前払いです。
予め決まった金額を給料から天引きし、最後に確定税額との差額を還付するのです。
だからプロ野球選手が引退したときや、大きく年俸が下がったときは
住民税の支払いが、そりゃもう、大変なことになります。
また、
もちろんお勤めだった方が、翌年働かないときには、
住民税の通知が来てビックリするのはこのためです。
その分の納税資金を取っておかねばなりません。
住民税の税率は、所得税の累進課税と違い、一律10%です。
所得が少ない方は、国税より住民税の方が高くなります。
新入社員の方は、2年目になって同じ給料だと、天引き額がぐっと増えるので、
ビックリされますね。
意外と住民税のこと、知らないよ~と耳にします。
そんな時でも税理士に尋ねてみてくださいね。
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2019年10月22日
今期は頑張った!決算賞与を出そう、その時注意することは。
今期は、利益が伸び、良い決算を迎えられそうだ。
よし、税金に取られるくらいなら、決算賞与として従業員に出してあげよう!
そんな事業主様も多いと思います。
バブルがはじけ失われた20年の間に、賞与は夏冬決まって支給される中小企業は減ってきています。
その分、利益が出たときに決算賞与を出そう、ということです。
経理上で注意すること
決算賞与を損金として処理するためには、決算月までに支払いをしておく必要があります。
しかし、支給を決めたのが決算間際となると、
支払いが決算月に間に合わなかった~、ということもあり得ます。
でも大丈夫です。
経理上は「未払賞与」として処理しておけば、翌月に支払いが回っても、
当期の損金として認められます。
支給するタイミング
さて未払経理をしたからといって、「資金繰りを考えて、2か月先に」なんてしてはいけません。
3月が決算であれば、翌4月に支払いがされないと、税務上は認められないことになっています。
お給料の支払日が翌月末だから、その時と一緒にと考えていても、
月末が週末で、支払が翌週にまわって、翌々月にならないよう、早めにお支払いをしてくださいね。
そして、客観的事実も必要です。
「決算を支給するよ」と従業員全員へ書面で通知、金額を明記することです。
そして支払いは振込にて行うこと。
現金払いは避けてくださいね。
退職した従業員には
うっかりやってしまうのが、退職者へ支払わないことです。
決算のタイミングで退職する方もいらっしゃるでしょう。
支給日が翌月ですから、支払をしないとなると、それはNGです。
決算賞与は、決算日に所属する全従業員へ支払うものでなければなりません。
それから、ご存知のように役員へ決算賞与を出すと、
事前確定届給与の届出を出していない限り、法人税が課税されますので、
そこはご注意くださいね。
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2019年10月3日
みなさん、消費税の損得っていったいナニ?
10月1日、消費税率が8%から10%に上がりました。
前日の夜にニュースを見ていると、
ビールを大量に買いだめする焼肉店、
設備投資ができず、店じまいする個人商店の報道がされていました。
消費税の増税の影響があちらこちらで出ています、という趣旨の報道でした。
税理士の視点からすると、少し違和感を感じます。
消費税を負担するのは誰?
そもそも、消費税を負担するのは誰でしょう?
エンドユーザー、いわゆる最終消費者です。
だから、焼き肉店のように
事業をしている人は、税金を負担していない
のです。
え?経費で支払ってますよ。
はい、おっしゃる通りです。
しかし、消費税の計算方法を知れば、その意味が分かります。
モノやサービスを提供したとき、事業主には「売上」が上がります。
その売上額に10%の消費税が課され、事業主が売上と一緒にもらう消費税は「預り金」の性格を持ちます。
一方で、経費を支払えば、その費用に10%消費税が課されます。
消費税は
預り消費税 - 支払い消費税 = 納税する消費税
と計算され、事業主が税金を納めます。
この計算式にあるように、消費税を負担しているのは、あくまでエンドユーザーである消費者となります。
焼き肉店が、あわてて8%の時にビールを買いだめても、結局、納める消費税が増えるだけなのです。
ただ、売上が5000万を下回る事業主なら「簡易課税」方式を選択できるので、
支払う消費税を計算に入れないため、トクをすることはあります。
消費税増税は増え続ける社会保障のため、といいますが
政府、財務省は消費税率を上げる理由として、
増え続ける社会保障費を賄うため
と説明しています。
しかし矛盾する点もあるのです。
消費税率が上がる一方で、下がり続けている税金があります。
それは法人税です。
消費税は平成元年に導入されました。
導入当時、税率は3%で、税収は3.3兆円でした。
それが8%になって、平成30年には17.6兆円、
10%に上がれば22兆円ほどになるでしょう。
平成時代は消費税増税の時代でした。
税率は3%から5%、そして8%、ついには10%まで上がってきたのです。
一方、法人税の税率は、平成元年には40%だったのが、
平成28年には23.4%まで下がりました。
平成元年には19兆円あった税収は、平成30年には12.2兆円となりました。
増え続ける社会保障費を賄うため、というのなら、他の税率も下げるべきではないはず。
荒っぽい言い方になりますが、それはつまり、税金を納めてもらう対象を、法人から個人消費者に移し替えた!ともいえるのです。
もちろん法人税率を下げる理由もいろいろあり、間違いではありません。
人口減少の続くわが国では、税収を確保するために、
所得(儲け)から、消費へ、そして資産へと課税対象が変わっていくことに一理あります。
増税で、私たち国民が注視しなければならないこと、
それは日用品の何が10%で何が8%ではなく、
どんな税金の集め方をすると、国が豊かに、継続していくか、
でしょう。
国民が広く痛みを分かち合う、そういえば美しいですが、
公平性は維持してほしいものです。
間違いないのは、消費税率を上げると、景気はブレーキがかかり、落ち込みます。
その意味では、すべての事業主に大きな影響が出る、損をする、ということになるでしょう。
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